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解剖学実習を終えて
 中西 良太
 私にとって今回の解剖実習は、人の死と真正面から向き合う初めての機会でした。すでに亡くなられた御遺体の方と何十時間もの間向き合うことで私の中での死のイメージがずいぶん変わったものになりました。今まで自分の親族以外の御遺体を見たこともなく、死は私にとって知らないことだらけの現実離れしたものでした。それが、白菊会の方々の話の中で、献体をされる御遺体の方々の強い思いを知り、少しずつ自分なりに死について理解できた気がしました。死は生きることの重さを表していると思います。私達は医者を目指す者として、一つ一つの生を大事にしなければいけないと感じました。
 この解剖実習では人体の仕組みについてさまざまなことを、実際に自分の目で確かめながら学ぶことができました。動静脈の流れ、内臓の構造、心臓の仕組み、筋肉・骨・関節の様子など、この実習で学んだことは間違いなく、どれも将来大いに役立つことでしょう。この実習を、そして私達のために体を奉げてくれた御遺体の方々の気持ちを無駄にしないように、今回得た知識を頭に焼き付け、将来に生かしていこうと思います。








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