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5. 結論と展望
 最近の状況から見て、クロアチア造船業の所有形態については、短期間での改革の用意ができているように見られる。現況から見て、Kraljevicaが最初の民営化の候補と見られ、2001年末にも民営化が行われる可能性がある。第4章に述べたように、クロアチア政府が想定している買い手は、Viktor Lenacである。この後に続くのは、クロアチア造船業の中で近年利益をあげている唯一の造船所である、Uljanik造船所の可能性もある。譲渡の条件が十分魅力あるものである必要はあるが、同造船所の経営状態や高度化船の建造実績は、海外の買い手にとって魅力あるものとなるであろう。
 
 他の造船所については、Brodosplitは、2000年に新造船契約の獲得でかなりの成功を収め、手持ち工事量も14隻を抱えており、こうした最近の改善は、投資家を引き付ける材料となるであろう。長い間巨額の負債を抱えてきた3 Majについても、負債の大部分について債務免除とする政府決定により、その将来展望は明るくなっている。Brodogradiliste Kraljevicaも、長く低迷していたが、最近新造船契約を獲得したと見られる。これに比べ、Brodotrogirは、新造船契約獲得における長引く問題に悩まされている。2000年半ば以降Laurin MaritimeからIMOタイプIIのケミカルタンカー6隻の発注を受けたが、同社の将来の投資家は、同社が他の顧客から受注をするまで、同社への投資について留保できることとなっている。また、同社がAuroraから受注した多目的貨物船3隻のうちの2隻が2001年初めにキャンセルされている。単一顧客への依存から脱却しない限り、これらが同造船所の将来性への警告の根拠となっている。








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