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2.3 クロアチア政府の造船政策(2000年以降)
 2000年1月の総選挙で、与党のクロアチア民主連合が敗退し、多数党の連立による新政府が誕生した。新政府は、国有事業の大幅な民営化を含むクロアチア経済の構造改革の加速を公約した。注24 新政府は、選挙後1ヶ月で、経済改革計画を公表した。計画の目玉のひとつは、経済一般、造船業の双方を対象とする経済政策の活性化で、以下のようなものがある。
 
◆ 2000年4月に政府は、国内造船所で10隻の船舶建造を対象として3億$の債務保証を行うと発表した。これは、Brodosplit、Brodotrogir、3 Maj及びUljanikの建造契約支援にあてられた。
 
◆ クロアチア産業のリストラ及び合理化の新たな政策のひとつとして、2000年7月に赤字国有企業の倒産法手続きが行われた。
 
◆ 2000年9月には、政府は、民営化の準備のため、クロアチアの5大造船所を含む16の国有企業をリストラし、再建すると発表した。注25
 
◆ 新造造船所への直接助成の供与。2001、2002年には2000年同様に、国内資機材の利用度に応じ、契約船価の8〜10%の助成が行われる。注26
 
◆ 造船所の民営化促進のため、既存債務の支払繰延べ、債務免除が行われている。2001年第一四半期に政府は、5大造船所に対し1990年代に蓄積された推定10億$の債務の内、1.2億$のみの返済を求めると発表している。注27 5年間の返済期間が設定され、これらの債務に対し、当座の特別保証が政府により行われている。これらの措置に併せて、海外投資家による造船所株式取得を促進するため30〜20%の企業税の減免が行われている。しかしながらクロアチア政府による大規模な負債免除は他の造船国から競争を歪曲化する措置と非難される可能性がある。
 
 また、最近では、政府は国際協調関係の再構築のための努力を行っている。これにより、クロアチアは2000年7月にWTO加盟を果たし、また、2000年1月にはEU加盟の予備交渉を行っている。クロアチア政府は、WTO加盟が条件となっている中欧自由貿易協定(CEFTA)注28への加盟も希望している。また、北米、欧州及びアジアの国々と数多くの二国間協定も締結されている。こうした取り組みによって、貿易の促進、クロアチア造船業の競争環境の整備がすすむことになろう。








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