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カナダ造船業の現状と課題 ?今後のカナダ造船政策の見通し?

 事業名 造船関連海外情報収集及び海外業務協力
 団体名 シップ・アンド・オーシャン財団  
4. カナダ主要造船所が期待する市場機会
カナダ主要造船所が期待する市場機会には以下のものがあげられる。
 
■ カナダ海軍、コーストガード等の政府艦艇
■ 太平洋岸(ブリティッシュ・コロンビア州)地域のBCフェリー需要
■ 五大湖・セントローレンス水路近辺の老朽化する五大湖船腹代替建造
■ 大西洋側のオフショア市場
■ ダブルハル化市場
■ カナダのバルク船腹の老朽化による代替建造需要
■ 北海航路開発向け砕氷船
 
カナダ造船業に影響を与える市場分野のいくつかについて以下に概説する。
 
4-1. カナダ海軍艦艇建造プロジェクト
カナダ海軍の大型プロジェクトとしては、以下のものがあげられる。
 
カナダ哨戒フリゲート(CPF)
1983年にカナダ政府は、老朽化したST. Laurent級駆逐艦の代替として、ハリファックス級フリゲート艦6隻の調達を承認した。1983年7月に、セント・ジョン造船会社が6隻の建造、陸上施設、その他カナダ海軍支援契約を受注した。1987年に、CPFプロジェクトは6隻から12隻に拡大された。
 
主契約者:セント・ジョン造船会社(ニューブランズウィック州)
主要サブ契約者:Lockheed Martin Electronic Systems Canada(ケベック州)、戦闘システムインテグレーション、Marine Industries Ltd.(ケベック州)3隻の下受け建造。
 
1983年6隻発注
1987年6隻追加
1991年第一艦引き渡し
1996年最終艦引き渡し
1999年主契約完了
2002年プロジェクト完了
 
Maritime Coastal Defence Vesselプロジェクト(MCDV)
 カナダ港湾、領海航路防衛能力不足を補うためのプロジェクト。1995年から1999年に12隻のMCDVが就役した。MCDVには海軍予備役が配乗される。1988年、政府は12隻の調達を、原則承認。1989年に各450万CAD(会計年度ドル)で、カナダ企業2社が概念設計契約を受注した。その結果、Fenco Engineers Inc.(現Fenco MacLaren Inc.)が1991年に主契約者として選定され、1992年にプロジェクト契約が発注された。
 
主契約者:Fenco MacLaren Inc.(オンタリオ)
サブ契約者:ハリファックス造船(12隻の建造)
 
1988年予備承認
1989年概念設計契約発注
1991年主契約者決定
1992年契約発注
1995年第1艦引き渡し
1998年最終艦引き渡し
2001年プロジェクト完了
 
TRIBAL CLASS近代化プロジェクト(TRUMP)
1983年に承認されたヘリコプター搭載駆逐艦Trival級4隻の艦齢延長工事。
 
主契約者及び主要サブコントラクター
■ The MIL Group Inc.(ケベック)(c/o MIL Davie Inc.)
■ Litton Systems Canada Limited
■ Pratt & Whitney Canada Inc.
■ 米国海軍省
1986年発注
1987年第一艦近代化工事着工
1995年最終艦引き渡し
2000年プロジェクト完了
 
以上のように、主要艦艇工事は1990年代半ばに完了している。
 
4-2. カナダ商船船腹の現状
 カナダ商船船腹は1980年代半ばを頂点として、減少傾向にある。船腹量がピークとなった1984年には、3,670,573DW T、2,642,480総トンであったが、1998年には、2,626,722DWT(約30%減)、2,076,403総トン(約22%減)となっている。
 
カナダ商船隊船腹量の推移
1957-1998
z0001_26.jpg
1973年と1992年の数字は推定。
1,000トン以上の自航船
出典: カナダ運輸省
 
カナダ商船隊の船種構成
 1998年12月31日現在のカナダ商船隊における1,000トン以上の自航船の船種構成は、ドライバルク船が1,952,536総トン、タンカーが481,482総トン、一般貨物船が86,394総トン、フェリーが72,529総トン、その他船舶が33,781総トンとなっている。
 
カナダ商船隊の船種構成
1998年現在
z0001_27.jpg
1,000総トン以上の自航船、1998年12月31日現在
出典: カナダ運輸省
 
カナダ商船隊の運航航路内訳
 1998年12月31日現在の1,000DWTを超えるカナダ自航船の運航航路内訳は、内陸河川等が1,873,756DWTで圧倒的に多く全体の71%を占める。次いで、大西洋航路が655,130DWTで25%、太平洋航路が69,148DWT(3%)、外国航路が28,418DW T(1%)となっている。
 航路別に船腹量の推移を見ると、外国航路は1980年代半ばをピークに激減し、1985年には581,923DWTであったのが、1998年には28,418DWTとなっている。太平洋航路、大西洋航路はここ4半世紀にほぼ横這い状態であるが、内陸水路航路は1984年の2,711,674DWTをピークに下降線をたどり、1998年には1,873,756DWTと約30%減少している。
 
カナダ商船隊の運航航路内訳
1998年現在(DWT)
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1998年12月31日現在、1,000DWT以上のカナダ自航船
出典:カナダ運輸省
 
航路別カナダ商船隊船腹量の推移
1975-1988(単位:DWT)
z0001_29.jpg
出典: カナダ運輸省
 
カナダ商船の建造国
 1998年12月31日現在、1,000総トン以上のカナダ自航船は174隻、うちドライバルク船72隻、フェリー56隻、タンカー22隻、一般貨物船17隻、その他7隻となっている。
 建造国別では、1996年12月31日現在で、1,000総トン以上の自航船について、隻数ベースでは、カナダ建造が141隻、ドイツ建造が10隻、英国建造が8隻、その他ヨーロッパが12隻、日本建造3隻、米国建造2隻となっている。
 
4-3. ブリティッシュ・コロンビア・フェリー公社
ブリティッシュ・コロンビア・フェリー公社(BC Ferries)は、1960年に州政府が開始したフェリー・サービスを前身とし、1977年に、ブリティッシュ・コロンビア州政府のCrown corporationとして運営されるようになった。1999−2000会計年度にBCフェリーは、2,140万人の乗客、790万台の車両を輸送し、3億7,800万CADの売り上げがあった。
 B.C.フェリーは1997年以来、赤字経営が続いている。1999年4月1日現在、公社の負債額は9億3,300万CADであり、19 98−1999会計年度には、1億1,400万CADの純損益を出した。2000年3月に、州政府は、同公社の経営建て直しを計るため、11億CADの債務免除と年間約7,200万CADの助成を認めた。
 同公社は、カタマラン・フェリーズ・インターナショナル社(CFI)を所有している。BCフェリーの完全子会社である同社は、1996年に4月1日に、公社向け高速フェリーの建造と、関連技術の商用化開発により、地域の造船業の活性化を図る目的で創設された。しかし、1998年に第一船、1999年に第二船が引き渡され、Horseshoe Bay-Nanaimo間で就航していたが、同航路では採算が取れず、3隻共に売りに出されている。
 当初から政府は、3隻目のPacifiCat引き渡し後に、カタマラン・フェリーズ・インターナショナル社を何らかの形で売却するつもりであった。検討の結果、州政府助成なしで同社が民間企業として国際市場で利益を上げるのは不可能として、資産の売却が最もコスト効率のよい処分方法として検討されている。
設備投資計画
 BCフェリーの持ち船の多くは、1960年代に建造されたものである。同社はフェリーの耐用年数を40年と見ており、同社の持ち船の多くについて、今後5年間に大型の代替建造需要が発生する。
 1999-2000年にBCフェリーは船齢25年を超える船舶24隻について、コンディション調査と、今後10年間運航するためのコスト推算、及び新船代替のフィージビリティー研究を行った。その結果、公社側は耐用期間の延長を図る方針を採用した。だだし、1962年建造のQueen Victoriaと1960年建造のQueen of Sidneyは売りに出されている。
 今後5年間の資本投資計画として、3億9,400万CADが予定されている。船舶新造の予定としては、110台積載カーフェリーの購入が1年目に予定されている。
BCフェリーズ船隊の船齢
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 2001年4月に、BCフェリー社は、400台積みの旅客フェリー3隻を韓国又は中国の造船所で建造することを考慮中と発表した。第1船の竣工は、2006年を予定しており、今年末には入札条件等が正式に公表される予定である。
 現在、同社の船腹のほとんどはカナダ建造であるが、(ドイツ建造1隻、ノルウェー建造1隻)、カナダには、米のジョーンズ・アクトのように内航船の輸入を全面的に禁止している法律はない。ただし「海外の造船所が受けている助成相当分を相殺するため」として、輸入内航船に25%の関税を課している。
 BCフェリー社のリングウッド社長は「もちろん、この地域で新造船を建造することができればそれにこしたことはないが、価格差は無視できない。ブリティッシュ・コロンビア州で建造すれば1隻約1億6,000万CAD(約128億円)であるが、韓国や中国で建造すれば関税を支払っても、なお遥かに安い。この州で建造することは可能だが、問題は旅客がいくら支払うか、だ。」と述べている。
最近のカナダ海外発注例
■ セント・ジョン造船の親会社であるアービン財閥がスーパータンカー2隻を日本から購入。
■ カナダ汽船(CSL)が中国の造船所に、2隻の貨物船を発注。
■ 2001年4月にBCフェリー公社が、韓国または中国から海外調達を検討中と発表。
 








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