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テロリズム
 2000年10月12日、アデンで、テロリストによる米国軍艦USSコール号攻撃は、特に米国に海上テロリズムの脅威を思い出させた。その脅威は、1985年、地中海で定期客船アキレスローラ号がパレスチナのテロリストによってハイジャックされ、そして船上で多くのアメリカ人乗客が殺されて最初に広く国際的な注意を集めたものであった。1960年代後半の当初に空のハイジャックと人質を取ることが急増して以来30年以上経た今でも、テロリズムは、国境にまたがるセキュリティーの全く「新しい」現象でもない。知識から、防御のための「力による防護」、人質の安全確保、テロリストの把握まで-テロリズム反抗の様々な軍隊の役割に、あいにく、何も不足しているものはない。まだ、ヨーロッパ及びその他の地域の国々からの観光客のフィリピンテロリストによるキャプチャー(捕捉)に起因する外交関係の複雑化、そしてマレーシアからフィリピン島への彼らの輸送は、海上のテロが、様々な形態で再浮上し続け、国際的な問題であることを示している。現在米国軍隊がかなりの注意を割いている最もやっかいな形態は、もしテロリストが攻撃に生物又は化学薬品(又は核兵器)を使うことになったならば、ということである。米国の状況は、1997年、サウジアラビアのKhobarタワー爆破された後、そして再びUSSコール号襲撃を経て、テロリスト攻撃に対する「力による防護」に非常に強い関心が集まった。--そしてそれは他の軍隊の要件を次々複雑にしているかもしれない。「力による防護」による懸念、テロリストの化学及び生物攻撃に対抗する備えは、伝統的な知識、人質救助、及びテロリストの把握等の役割にくわえて、米国軍隊のテロリズムに対応する中心的な機能で恐らくあり続けるであろう。国の後援が、1998年のアフガニスタン及びスーダンのターゲットを米国トマホークで攻撃したように、同定でき、かつ報復的(又は先制的)なテロリストの施設攻撃である場合は、それも恐らくテロリズムに対抗する軍隊の主要な役割であるであろう。
 
 1985年、アキレスローラ号の海上テロリズムは、海上航海の安全に対する不法行為の抑制のためのIMO1988年会議(ローマ会議)となった。ローマ会議(及び、プロトコル。その適用範囲を大陸棚に固定したプラットフォーム上の攻撃にまで拡張している)は、テロリストの行為に対する国際的な法的権限を領海水域の制限外にまで拡大し、そして彼らの起訴ないしは引渡しを要求している。中国、オーストラリア、日本、カナダ、及び米国を除いて、ほとんどのアジア太平洋の国々はこの条約を批准しなかった。2000年1月18日のUN国連総会決議により再度勧められたように、地域国家は、批准を守るべきである。27








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