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麻薬取引
 他の地域のようにアジア太平洋の地域では、麻薬取引問題を扱う場合に現実的な協力の範囲を識別するのはしばしば難しいことになる。この協力の多くは民事法施行機関間の双務的レベルに生じるからである。この地域では、主要な懸念は、黄金の三角地帯及びアフガニスタンのアヘン生産である。最近の1年で、米国のヘロイン輸入の80%に相当している。麻薬取引は、ヨーロッパと北アメリカの伝統的な麻薬仕向地だけでなく東アジアの現代都市社会で増える傾向にあり、成長の危険もある。ヘロインだけでなく、日本と韓国は、メタヘタミン輸送に関係している。オーストラリアとニュージーランドは、これに対して、南アメリカからコカインを持ち込む船舶に懸念を持っている。米国国内の状況では、米国軍隊は、米国沿岸警備隊、米国関税局、及び麻薬取締局のメキシコ国境及び東太平洋とカリブ海の海と空の「輸送地帯」に注目した二つの(東と西)共同のインターエージェンシータスク・フォースを通じて麻薬取引を捜査し、阻止し、そして逮捕する努力をリードする重要なサポートの役割を果たしている。しかしアジア太平洋地域で、麻薬密売人の現実的な阻止と逮捕はほとんど国境及び司法権が明確になっている港及び領海内で行われていて、外洋での押収は少ない。麻薬取引に対抗する地域の軍隊の役割は、疑わしい麻薬運搬に関する追跡情報と知識の共有及び恐らく麻薬取引情報交換のための地域にまたがる情報センター(結局ASEAN地域フォーラムが取り組むかもしれない問題)を含むはずである。
 
 外洋にまで広がる麻薬取引については、国際法で、奴隷制度及び海賊行為のように、麻薬取引をすべての国家によって麻薬取引を外洋においても逮捕できるように考慮されるべきである。更に、例えば東南アジアの混雑する沿岸水域では、共同麻薬パトロール及び(海賊行為に関するそれらのような)実施協定は、マラッカ及びシンガポール海峡のように特定水域が重なり合うところでは有効であるかもしれない。
 
 国際的な法的状況では、麻薬及び向精神性薬物(1988ウィーン会議)の密売に対する1988 UN会議は、海上の麻薬取引に詳細に取り組んだ最初のものである。1988ウィーン会議は、外洋において協力するためのそのような交通を抑止するために、枠組みを国々に提供している。UNCLOSの条文108は、また、そのような協力に備えている。
 
 そして、1998のUN国連総会決議S-20/4は、国連の国際麻薬コントロールプログラムの海上麻薬法施行訓練ガイドに設けられている共通手順の利用及び海上麻薬法の施行、訓練にかかわる地域の協力を求めている。24 中国だけで約100万人の麻薬常用者の存在を認めている中国のリーダー及びASEAN諸国と中国の間の最近の2000年10月の反麻薬協力協定によって、(2000年2月、Andean海におけるタイ海軍による2隻のトロール船から2,350万ドル相当の麻薬押収のように)海上での麻薬の押収はより一般的になるであろう。25 実に、米国太平洋司令官、デニスブレア提督は、最近、地域における麻酔剤取引を多国間のアプローチが必要とされる広がりつつある問題として引用している。26








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