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6-2-3 プレジャーボートの体験・利用機会の拡大
 
(1)青少年に対する海事教育の推進
 
プレジャーボートの利用促進には、青少年期からの水上での自然体験やレクリエーション体験の積み重ねがその基盤となるものであると考えられる。
 行政団体や海事関係団体が、青少年に対し実践的な海洋性レクリエーション活動の機会の提供、海洋性レクリエーション機材の整備、青少年へのセーリング等の指導者に対する指導力向上、全国レベルでの海洋少年団の活動や国際交流、海に面していない地域の子供たちの乗船体験教室等の青少年教育を目的とした取り組みがすすめられている。こうした取り組みの継続、強化が今後も必要である。
  同時に、学校教育における小中学校の総合的な学習の時間を対象として、それぞれの学校が海洋性レクリエーションを含む海事活動への取り組みを広げることを支援するようなプログラムの用意等に行政団体や海事関係団体などにおいて積極的に取り組み、その基盤整備の役割を果たしていくことが重要であると考えられる。
 
(2)高齢者、身体障害者などへのプレジャーボートの体験・利用機会の拡大
 
 今後の高齢化の進展やノーマライゼーションの実現をはかる社会的要請をふまえ、高齢者、身体障害者が円滑に利用できるような施設面や制度面でのバリアフリー化促進するとともに、高齢者、身体障害者の利用に資するよう普及啓発をおこない利用機会の拡大に向けた環境整備をはかることが重要であると考えられる。
6-2-4 安全性の向上
 
 プレジャーボートは、特定の水域で集中的に利用されるものである。また、漁業関係者や海水客等と同一ないし近接した水域で利用されることが多い。このようなプレジャーボートの特性から、プレジャーボートが適正に利用され、その安全を確保するためには、地域の個々の事情に応じ、必要な場所においては、速度制限や航行禁止を含む航行ルールを形成していくことが望ましいものである。
 諸外国では、水域ごとに適当なルール(航行禁止、徐行など)を定めている例がみられる。また、わが国においても、河川法の通行方法の指定や条例、地域の関係者のイニシアティブによる自主ルール等として、航行ルールを策定する動きが広がりつつある。こうした取り組みは、迷惑行為の防止、地域の環境保全、水域の利用調整等の観点からも有効であり、プレジャーボートが適正に利用されるために重要なものであることから、安全講習等の場を活用してマナーの確立を含めた教育活動を推進していくことが重要である。
 なお、こうしたルールの策定に際しては、漁業関係者、周辺住民など関係者がきわめて多いことから、関係者の意見が適切に集約され、反映されるような決定システムを採用することに留意する必要がある。








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