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序章 調査研究の概要
序-1 調査研究の背景と目的
序-1-1 調査研究の背景
 地球環境意識の高まりと国連海洋法条約上のわが国の権利と責務をふまえ、海洋・沿岸域を人類共通の財産として適正に保全しつつ、海運、水産業、海洋性レクリエーションなど多面的に利用することが肝要であり、わが国でもこのための総合管理計画の策定に向けた動きが緒についており、平成12年2月には、関係17省庁の合意により「沿岸域圏総合管理計画策定のための指針」が策定・公表されている。
 このような動きを受け、国土交通省、水産庁および環境庁は、「伊勢湾沿岸域における総合的管理の実現に資する社会資本整備計画調査」を平成12〜13年度にわたり実施しており、このなかで沿岸域の課題の一つとして、海洋性レク施設の整備や放置艇対策の推進など、海事産業における対応が期待されているとともに、新たな需要創出につながる可能性がある事項がみられる。
 一方、伊勢湾内の伊勢市では、市内に位置する宇治山田港に対して、地域振興をみすえた港の開発のあり方について提言するため宇治山田港湾整備促進協議会を設置し、地域活性化の材料として港内の放置艇に着目して検討がすすめられてきたが、平成13年10月に「宇治山田港湾整備(まちづくり・港づくり)に向けての提言」として提言書がまとめられた。このなかでは、緊急収容施設としてのボートパークの整備とあわせ、地場産業としての造船所を活用する形でのマリーナ等施設整備の構想や造船技術の伝承方法について検討することなどが盛り込まれている。
序-1-2 調査研究の目的
 本調査は、上述したように、国や地方公共団体による沿岸域管理のための具体的な計画づくりがすすめられている伊勢湾沿岸域において、重要な地場産業としての造船や舟艇等の海事産業が沿岸域管理のために如何なる貢献をなしえるかを検討することを目的とし、とくにモデルケースとして伊勢市における海レク振興および放置艇対策をテーマとした沿岸域造船所のマリーナ等舟艇保管施設としての活用に関する提案をとりあげ、整備にあたっての制度面の整理、港内の他の緊急収容係留施設や近隣マリーナとの差別化の検討、マリーナの想定、採算性の検討、マリンレジャー振興のための関連施策の検討、地域活性化のための連携施策の検討、造船技術や文化の保持のため関連施策の検討をおこなった。








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