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序-2 調査研究の対象地域
 本調査研究は、宇治山田港およびその周辺地域(伊勢市、鳥羽市、二見町、小俣町、御薗村)を中心にすすめる。また、必要に応じて、全国の事例等について収集・分析し、本調査の参考とした。
序-3 調査研究の基本的視点
 本調査は、次に示す2つの基本的な視点を有し実施した。
(1)様々な付加機能を備えた「マリーナ」を整備することによるユーザー、地域社会などへの価値の提供のあり方の検討(施設整備の中核としての「マリーナ」の付加価値の活用方策)。
(2)伊勢湾全体の海洋性レクリエーションに係わるポテンシャルを高め、さらには、大阪湾と比較しての優位性を保つことを目的として、伊勢志摩などの近隣の地域資源の価値を活かした整備のあり方の検討(地域ポテンシャルの活用方策)。
序-3-1 施設整備の中核としての「マリーナ」の付加価値を活かした方策の検討
 プレジャーボートを地域活性化のための材料として捉え、係留保管施設の整備等を通じて港を中心とする地域振興をめざすという伊勢市の構想を実現するためには、単なる放置艇収容施設を数合わせで新設するだけでは不十分であり、地域活性化に資する付加価値を備えた「マリーナ」を中核として整備し、これと放置艇収容施設とが連携することが肝要である。
 マリーナは単に舟艇の保管場所というだけでなく、マリーナの中に設けられたクラブハウスなどの様々な施設を活用することで海洋性スポーツ、釣り、料理、景観、海洋文化など様々なテーマについて人々が集う場として地域住民が海に親しむことを促進するための機能をはたし、またマリーナが主催する各種講習会や体験イベントなどにより操船技術や知識の向上、海上での安全航行のあり方や環境保全のための海との接し方など人々を育てる場として安全、環境意識の啓発機能が期待される。さらには、造船技術の提供によるボートのメンテナンスなど安全面でのサービスなど人々を支える機能も期待され、以上のような諸機能は施設としての「マリーナ」における付加価値と捉えることができる。
 本調査研究では、このような簡易な放置艇収容施設にはない施設としての「マリーナ」の付加価値を把握することにより、宇治山田港のマリーナに期待される付加価値を活かした方策の検討をおこなった。
序-3-2 周辺の地域資源との連携による「マリーナ」の付加価値の向上の検討
 マリーナの整備が検討されている宇治山田港周辺は、伊勢志摩国立公園をはじめとする美しい自然に恵まれ、豊かな水産資源にも恵まれている。また、長い歴史の中で形成された多くの歴史・文化資源にも恵まれ、豊富な観光資源を有している。
 本調査研究では、これら地域資源との連携をはかることで地域振興と一体となった「マリーナ」整備のあり方の検討をすすめるとともに、これによりマリーナそのものの立地上の優位性をはかっていくための方策の検討をおこなった。








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