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あなたの医療は適切ですか 第4回
快適ペースで
安富 トキ子
保健婦として長年高齢者の健康維持に従事する
ウォーキングは運動の基本
 
 運動は続けやすいことが重要です。いつでも,どこでも,ひとりでも」できる運動がのぞましいのです。その点歩くことは最も手軽で,かつ効果の高い運動です。高血圧や動脈硬化の予防はもちろん,骨への刺激にもなりますので骨量維持にも効果があります。
手軽にできるウォーキングをマスターする
 
 ふだんあまり運動してない人が,いきなり激しい運動をすると事故を起こしやすいので,まずはウォーキングからはじめましょう。[1]意識して全身の筋肉を使って歩く,[2]姿勢や着地の仕方,[3]大きく腕を振る,[4]少し歩幅を広げ速足で歩くことがポイントです。ただしウォーキングでは,ほぼ体重分の衝撃が足や膝に加わるので,体重の重い人や筋力の弱い人は足腰を痛めることがあります。膝や腰に負担が少ないサイクリングや水泳がよいでしょう。
継続は力なり
 
 最初はぶらぶらと5〜10分程度歩くことからはじめ,次第に時間を延ばしていきます。1回に30分以上歩けるようになったら,少しずつスピードを速め,最終的には心拍数が1分間に110〜160ぐらいになる程度の速さで,週3〜4日継続します。1回20〜30分の運動は身体活動するだけでなく,基礎代謝率は5%ぐらい上昇し,その後1日以上続きます。生活のなかに無理なく組みこめる時間を選ぶのが長続きさせる秘訣です。
快適ペースの目安
 
 ウォーキングなど5〜10分好みのペースで動いた後,脈拍を15秒測ります。これを4倍すれば「運動直後の1分間の脈拍数」が算出できます。これに10を足すと「運動中の1分間の脈拍数」となります。
 運動直後の15秒間の脈拍数×4+10=
     運動中の1分間の脈拍数

 これよりも少なければ,もう少し負荷をかけても大丈夫ということになります。このようにして何度か測定を繰り返すことにより,自分にとって適当な強さ(速さ)を知ることができます。
 
年齢 30歳代 40歳代 50歳代 60歳代
運動中の1分間の脈拍数 115 110 105 100
 
自制心
 
 体調や気温,風向きなどにより,いつものペースでも身体がついていけない日があります。そんな時は無理をせず,運動が身体に気持ちよく感じられるところで止めておくことです。「大人の自制心」が中高年の運動には必要となります。








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