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II 和歌山県大塔村の集落再編整備事業と集落対策
1 大塔村の概況
(1)位置等
・大塔村は、和歌山県の南部中央に位置し、総面積は219.06km2
・昭和31年に鮎川村(一部分村)、三川村、富里村(一部分村)の3村の合併により現在の大塔村が誕生し今日に至っている。
 
(2)自然・地形条件等
・大塔村の北部及び東部には、1,000m級の連山が控え、全体として西南に傾斜した山岳地帯であり、中央部を北から南に日置川が、西側を富田川が急峻な山間を蛇行しながら流れている。
・全般的に気候は温暖多雨であり、年間平均気温は16℃、年間降雨量は約3,000mmで、四季折々の自然景観と豊かな水資源に恵まれた地域となっている。
・大塔村の行政区域の約96%は森林で占められている。地目別土地利用面積は表II−1のとおり。
表II−1地目別土地利用面積(大塔村)
(単位:ha、%)
  全体
  農用地 林野 水面等 道路 宅地 その他
面積 21,906 167 21,089 354 235 61 0
100.0 0.8 96.3 1.6 1.1 0.3 0.0
(平成9年)
(3)交通条件
・県庁所在地の和歌山市から村の最寄の田辺市までは、特急で1時間、車では約1時間30分となっており、この田辺市から村の玄関である鮎川地域までは14kmの距離にある。ここから、奥地の三川地域、富里地域のそれぞれの中心地までは県道を経て各々15kmあり、そこからさらに最遠の集落までは15kmの距離となっている。
・路線バスは、田辺市を起点として鮎川地域までは多数運行されているが、三川地域へは5便、富里地域には3便のみであり、奥地住民の交通手段として自家用車への依存度が非常に高い。
 
(4)人口・世帯数
・人口は、平成12年の国勢調査で3,246人で、うち男1,573人、女1,673人となっている。表II−2より、昭和35年の人口総数6,046人と比べると46.3%の減少となっているが、平成2年は3,181人、平成7年は3,285人で、過去10年間の人口はほぼ横ばいの状況で推移している。
・平成12年の世帯数は1,249世帯で、昭和55年(1,144世帯)以来増加傾向にある。
・年齢階層別に推移を見ると昭和35年と平成7年の比較で、年少人口(0歳〜14歳)が2,232人から496人と激減しており、逆に65歳以上の老年人口が450人から913人と2倍近くに増加するなど、少子・高齢化が顕著に表れている。
表II−2人ロ・世帯数の推移(大塔村)
  人口 世帯数
総数
昭和35年 6,046 3,109 2,937 1,374
昭和40年 5,006 2,497 2,509 1,282
昭和45年 4,030 1,981 2,049 1,163
昭和50年 3,786 1,851 1,935 1,175
昭和55年 3,512 1,734 1,778 1,144
昭和60年 3,351 1,669 1,682 1,153
平成2年 3,181 1,556 1,625 1,169
平成7年 3,285 1,590 1,695 1,217
平成12年 3,246 1,573 1,673 1,249
(5)就業者人口
・総就業者数は昭和50年代中頃までは減少傾向にあったが、その後ほぼ横ばいで推移しており、平成12年時点の就業者数は1,412人で、割合は第1次産業232人(16.5%)、第2次産業346人(24.5%)、第3次産業834人(59.0%)となっている。
表II−3年齢別就業人ロの推移(大塔村)
(単位:人)
  昭和40年 昭和45年 昭和50年 昭和55年 昭和60年 平成2年 平成7年
15〜19歳 51 44 24 29 26 27 35
20〜29歳 318 224 246 242 253 200 221
30〜39歳 565 431 309 259 277 268 276
40〜49歳 504 550 513 417 312 278 321
50〜59歳 328 324 395 401 432 371 299
60歳以上 305 281 226 260 319 350 429
合計 2071 1854 1713 1608 1618 1494 1581
(6)農業
・農家数等
総農家数は、昭和40年の682戸から平成12年の287戸へ42.1%の大きな減少となっている。
・経営耕地面積
平成12年の経営耕地面積は88.2ha、販売農家(154戸)1戸当たり平均が0.57haとなっている。
・農業粗生産額
平成12年の農業粗生産額は、253百万円で、農家1戸当たりで387千円となっている。種別で見ると、果実が82百万円と全体の32.4%、米が59百万円で23.3%をそれぞれ占めている。
・その他
農業については小規模ながら山間地域に見合った野菜や花木の生産を行っており、特にシシトウ、ウメ、シキミ等の作付けの拡大や近代化施設の整備を図っている。
表II−4経営耕地面積の推移(大塔村)
(単位:ha)
  樹園地
昭和40年 187 46 46
昭和45年 170 34 45
昭和50年 125 25 33
昭和55年 114 24 32
昭和60年 98 19 30
平成2年 76 12 40
平成7年 63 9 44
(7)林業
・平成12年現在、林野面積は21,014haで、うち国有林が1,271 haで6.1%を占め、民有林は16,774haで79.8%、公有林は2,969haで14.1%となっている。なお、人工林率は全体の69.7%となっている。
・特用林産物として椎茸、しめじの生産拡大と近代化施設の整備を図っている。
(8)商業・工業
・商業
商店数は、平成10年に54店であったが、平成11年から47店に減少。従業員数及び卸小売業販売額は平成7年から8年にかけ、それぞれ100人から109人に、1,053百万円から1,300百万円に増加し、その後横ばいで推移している。
・工業
平成12年の事業所数、従業員数は、それぞれ17事業所、200人となっており、近年ほぼ横ばいである。平成12年の製造品出荷額は2,609百万円であり近年の推移は表II−5のとおりである。
表II−5製造品出荷額の推移(大塔村)
(単位:百万円)
  平成5年 平成6年 平成7年 平成8年 平成9年 平成10年 平成11年 平成12年
製造品出荷額 3,386 2,682 2,682 2,778 3,162 2,953 2,475 2,609
(9)観光・リゾート
・大塔村への観光客数は、平成12年で約13万人となっており、平成7年以来増加傾向となっている。
・豊かな自然を活かして青少年旅行村を開村しキャンプ場として整備すると共に、百間山渓谷にカモシカ牧場とキャンプ村を開設するなど、施設の拡張及び整備を行った。
・国道311号沿いに都市との交流及び産業の活性化を担う「ふるさとセンター大塔」を、合川ダム湖畔に交流促進施設「おおとう山遊館」を、富里地域には富里温泉「乙女の湯」を開設した。
表II−6観光客数入込数の推移(大塔村)
(単位:百人)
  平成5年 平成6年 平成7年 平成8年 平成9年 平成10年 平成11年 平成12年
入込数 687 739 661 741 897 1,234 1,297 1,295
大塔村全図
(拡大画面: 757 KB)
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