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福岡市における都市型新産業の育成方策について
福岡市総務企画局企画調整部
企画課長 桃崎 悦子
1.はじめに 
 福岡市の経済は、九州市場の拠点として卸売、小売、サービス、金融機能等の集積が進み、第3次産業を主体とした産業構造となっている。このような産業構造は特定の成長産業の変遷に左右されにくいため、バブル経済崩壊後も、アジア諸国との交流などを背景に活発な民間投資を呼び込み、比較的順調に発展してきた。
 しかしながら、日本経済の長期にわたる景気低迷、流通構造の変革、IT革命の進展など昨今の社会経済環境の変化は、本市においても第3次産業全体の事業所数や従業者数の減少、卸売業・小売業の年間商品販売額の減少などに見られるとおり、これまで本市の経済を支えてきた経済基盤に影響を及ぼしつつある。
 今後、地域経済の活力を維持し、発展させるためには、地域の資源を活かした内側からの産業振興と国内外からの企業誘致とを車の両輪とした、新たなリーディング産業づくりをしていく必要がある。
2.福岡市の現状 
 福岡市経済の特徴としては、まず、産業に占める第3次産業の比率の高さが上げられる。平成11年度事業所統計によると、従業者数は第一次産業444人(構成比0.1%)、第二次産業116,110人(15.2%)、第三次産業648,704人(84.7%)となっており第三次産業の占める比率が高い。
 業種別では、卸売・小売業、飲食店307,460人(40.2%)、サービス業222,251人(29.0%)、建築業71,130人(9.3%)、運輸・通信業61,815人(8.1%)と続き、上位2業種で従業者数の約7割を占めている。
 特に本市のサービス産業は、事業所数20,822、従業者数222,251人と卸売・小売業に次ぐ産業となっており、マスタープラン(基本計画)でも、今後経済のソフト化、サービス化の進行に伴い、その比率が増加していくことが予想されているなど、中枢管理機能の強化、企業活動、市民生活、多様な雇用機会の確保に重要な役割をになっている。
 今後とも経済のサービス化の中にあって同産業の重要性は増大していくと考えられており、中でも情報サービス業、デザイン業などの知識集約な対事業所サービス業の振興を図ることが必要である。
産業構造の全国との比較(従業者数による)
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 資料:総務省「事業所・企業統計調査」(平成8年)
(1)情報関連産業
 ・福岡市における情報関連産業の状況としては、百道(ももち)地区のソフトリサーチパーク(SRP)において情報関連企業、研究機関の集積が進んでいる。(平成12年:企業数110社、従業者数6,000人)
 ・福岡市内の情報サービス業は、事業所数で政令指定都市第5位となっている。(平成11年度:事業所数248、従業員数14,044人)
 ・福岡における豊富な人材を産学官あげて支援するため、設立された「マルチメディアアライアンス福岡」やIT企業の有志で運営されるボランティア団体である「D2K」等に見られるように、地元情報系企業のネットワークが形成されつつある。

(2)デザイン産業
 ・情報関連産業に続く新産業分野のうち、デザイン産業については関連企業・教育機関が集積(平成12年:デザイン教育機関:大学5校、短大2校、専門学校15校)しており、経済産業省の調査(特定サービス産業実態調査《デザイン業編》)では、事業所数、従業者数、年間売上高のいずれにおいても13大都市中、東京都区部、大阪市、名古屋市についで第4位の集積となっている。








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