「生活相談員」及び「介護職員」の福祉職としての経験年数をみると、「10年以上20年未満」と回答した者が156人(32.0%)で最も高い割合を占め、次いで「5年以上10年未満」が138人(28.3%)となっている。

　

　これを入所者定員別にみると、規模の小さい施設に勤務する者の方が、経験年数が長い傾向がみられる。

　

　また、年齢別では、「10年以上20年未満」の割合が、「30歳代」ではその51.7%、「40歳代」で40.3%、「50歳代」で44.9%と最も高くなっている。「20年以上」をみると、「40歳代」で26.1%、「50歳代」で34.7%と、その割合は「10年以上20年未満」より低い。高い年齢層でも、「10年以上20年未満」の割合が最も高くなっていることについて考えると、例えば「40歳代」以降の者には子育て等の理由により一時的に福祉職を離れたあと、子供の手が離れたことで再度福祉職に就くというようなことが多いのではないかと推測される。

　福祉職員の現在勤務している施設における勤続年数をみると、「5年以上10年未満」と回答した人が137人(28.1%)で最も高い割合を占め、次いで「10年以上20年未満」が127人(26.0%)となっている。

　これを職種別にみると、全般的に「生活相談員」の方が「介護職員」よりやや勤続年数が短く、また男女別にみると、「男性」の方が「女性」に比べやや勤続年数が短い傾向がみられる。

　年齢別では、20歳代では「1年以上3年未満」が32.2%と最も高く、次いで「5年以上10年未満」の26.0%となっているが、各階層に幅広く分布している。30歳代になると、「10年以上20年未満」の39.7%が最も高く、次いで「5年以上10年未満」の36.2%となっていて、この2つで四分の三を占めている。40歳代になると、「10年以上20年未満」が31.4%、「5年以上10年未満」が28.8%と高い割合であるが、「20年以上」も16.9%を占めるなど、年齢が高くなるに従って、勤続年数も増える傾向にある。

　前記1.及び2.でみた、福祉職としての経験年数と現施設における勤続年数との関係をみると、経験年数が「1年以上3年未満」及び「3年以上5年未満」では、現施設勤続年数の方が短いと回答した者が、ともに1割を超えており、その割合は経験年数が5年以上になると、いずれの階層も1割を切って5%前後の割合となっている。経験年数が5年未満の者では転職者の比率が高いことが推察される。

　年齢別では、「40歳代」で経験年数に対して現施設での勤続年数が短い者の比率が高くなっている。子育てが一段落し、再度福祉職に従事するという者が多いことの現れであろうか。

　一般的にみれば、ひとつの施設に長期継続して勤務していればどちらも同じ年数階層になるものと考えられる。全体としてみれば、福祉職では、経験年数より勤続年数が短い者の割合が高く、また後述の「5.福祉職員の転職状況」の結果と合わせてみると、福祉職では転職や、仕事を一時中断する人が多く、一施設での定着率は低いことがうかがわれる。

　「社会福祉士」と「介護福祉士」に限ってその資格の保有状況をみると、「社会福祉士」の資格のみを有する者は22人(4.5%)、「介護福祉士」の資格のみを有する者は307人(63.2%)、その両方の資格を有する者は12人(2.5%)であった。

　これを職種別にみると、「介護職員」で「介護福祉士」の資格を有している者は256人(71.3%)と、7割に達していた。介護福祉士は名称独占の資格であり、資格を有していなくても従事できるが、近年の介護業務に対する重要性の高まりに伴い、より専門的な知識、技能が求められてきた結果、これだけの有資格者率に達したものと思われる。

　男女別にみると、「社会福祉士」については男性の有資格者がやや高く、「介護福祉士」については「女性」が高くなっている。

　なお、その他の資格の有無については特に尋ねなかったが、別途記載されていたものをみると、看護婦(2人)、ケアマネージャー(3人)、ホームヘルパー2級(1人)などの資格を有しているとの回答があった。

　次に、有資格者について、当該資格を有していることにより賃金面での優遇措置を受けているかどうか尋ねたところ、「受けている」と答えたのは29.5%であった。

　設置形態別にみると、優遇措置を受けている割合は「公営」の施設より「民営」の施設の方が高く、また入所者定員別では、規模が大きい施設での割合が高くなっている。