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IV 職員の意識
 介護職員や看護職員について、極度の身体疲労やストレスから生じる、いわゆるバーンアウト徴候(燃え尽き症候群)と呼ばれるものが最近話題になっている。厚生労働省で実施した平成12年介護サービス施設・事業所調査によれば、介護福祉施設(特別養護老人ホーム)では、退所者の57.0%は死亡によるものであり、如何に意欲を持って仕事に当たっているとしても、その精神的な苦労は計り知れないものがあるのではないだろうか。そこでバーンアウト徴候をどの程度の職員が感じているのか、確かめてみた。
1. 仕事に対する過重感
 自分の仕事について、過重だと感じている者の割合は、85.9%と9割近くに上っていた。その原因について、例示して複数回答で尋ねたところ、回答した者の割合が最も高かったのは「職員の絶対数が不足している」で63.7%であったが、いずれの項目も高い割合を示しており、最も低い「利用者の容体が急変するなど、常に緊張が強いられる」でも47.7%であった。〔第22図参照〕
第22図 福祉職の過重感
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2. 燃え尽き傾向
 バーンアウト傾向を探るための手法としては、MBI(Maslach Burnout Inventory)などが多く用いられているが、今回の調査では一般職員を対象としていないため、このような手法を採っても比較ができないことから、単純に福祉職員がバーンアウトした人によくみられる徴候をどの程度感じるかという点だけに絞って質問した。したがって、この結果のみをみて、福祉職員にはバーンアウトした人が多いとか、少ないとかを論ずることはできないことを、まずご注意いただきたい。〔第23図参照〕
第23図 福祉職のストレス度
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(1) 「疲れやすい」
 最も割合の高かったのは、「よくある」の61.8%で、次に高い「たまにある」の30.9%と合わせると、9割の者が「疲れやすい」と感じていた。
(2) 「仕事に対する意欲がなくなる」
 最も割合の高かったのは、「たまにある」の58.1%で、次いで高かったのは「ほとんどない」の19.0%であった。「よくある」は12.9%で、「たまにある」と合わせると71.0%であった。
(3) 「朝起きられない」
 最も割合の高かったのは、「たまにある」の36.1%で、次いで高かったのは「ほとんどない」の24.9%で、「よくある」は18.2%で最も低かったが、「たまにある」と合わせると、54.3%と過半数を超えていた。
(4) 「気が滅入る」
 最も割合の高かったのは、「たまにある」の50.0%で、次いで高かった「よくある」の22.9%と合わせると72.9%であった。
(5) 「うんざりした気分になる」
 最も割合の高かったのは、「たまにある」の48.7%で、次いで高かったのは「ほとんどない」の22.0%であった。「よくある」は19.8%で「たまにある」と合わせると68.5%であった。
(6) 「気が弱くなる」
 最も割合の高かったのは、「たまにある」の45.8%で、次いで高かったのは「ほとんどない」の28.3%、「よくある」は11.0%と最も低かった。「よくある」と「たまにある」を合わせると56.8%であった。
(7) 「精魂が尽き果てる」
 最も割合の高かったのは、「たまにある」の36.6%で、次いで高かったのは「ほとんどない」の32.5%、「よくある」は11.7%と最も低かった。「よくある」と「たまにある」を合わせると、48.3%であった。
(8) 「投げやりな気持ちになる」
 最も割合の高かったのは、「たまにある」の37.4%で、次いで高かったのは「ほとんどない」の33.7%、「よくある」は9.2%と最も低かった。「よくある」と「たまにある」を合わせると46.6%であった。
(9) 「介護の仕事を辞めたくなる」
 最も割合の高かったのは、「たまにある」の34.0%で、次いで高かったのは「ない」の27.1%、「よくある」は15.7%と最も低かった。「よくある」と「たまにある」を合わせると49.7%であった。








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