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X.輸入の促進及び対内投資事業の円滑化に関する臨時措置法の概要
1.背景
 近年、国際的に貿易、直接投資等の相互交流が進展する中で、わが国国民経済及び地域社会の国際経済環境と調和ある健全な発展を図るため、輸入を促進するとともに対内直接投資による事業の実施を円滑に進めることが必要であり、平成3年11月の産業構造審議会総合部会国際産業交流小委員会及び輸出入取引審議会企画調整部会制作専門委員会合同委員会答申「今後の我が国の国際経済交流のあり方について」においても、輸入インフラの拡充、輸入物流拠点の適正な配置等の推進が提言された。
 これをふまえ、平成4年3月に平成8年5月までの時限立法として「輸入の促進及び対内投資事業の円滑化に関する臨時措置法」が制定され、輸入促進基盤施設の整備が進められるなど、一定の成果を収めてきている。
 しかしながら、現在、我が国の経常収支黒字は依然として巨額であり、輸入の促進を図ることはますます重要になっている。また、国際経済環境との調和ある健全な発展を図るためには、対内投資を一層促進する必要が生じている。このため、同法の廃止期限を平成18年5月まで延長するとともに、その施策の拡充のための所要の改正が行われ、平成7年11月に公布された。
2.法律の概要
 港湾、空港及びその周辺に輸入促進地域を設け、当該地域における輸入の促進に寄与する事業を支援し、輸入貨物の円滑な流通等を図るとともに、対内投資事業の実施を円滑に進めるため以下の措置を講ずる。
(1)輸入促進措置
[1]輸入促進地域において以下の措置を講ずる。
ア.主務大臣(通商産業大臣、運輸大臣、農林水産大臣及び自治大臣)は、輸入促進基盤整備事業(輸入貨物の蔵置、加工、展示又は運送の事業その他の輸入貨物を取り扱う事業の用に供される施設の設置及び運営を行う事業)及び輸入貨物流通促進事業(輸入促進基盤整備事業に係る施設を利用して行われる輸入貨物を取り扱う事業)の支援に関する事項等につき、地域輸入促進指針を定める。
イ.都道府県は、上記指針に基づき地域輸入促進計画を作成し、主務大臣の承認を受ける。
ウ.承認を受けた地域輸入促進計画に基づく輸入促進基盤事業を行う者に対して、産業基盤整備基金による出資及び債務保証、固定資産税等の不均一課税に伴う減収補填、地方債への配慮等の措置を講ずる。
エ.特定集積地区(輸入貨物流通促進事業の集積を特に促進することが適当と認められる地域)内の輸入貨物流通促進事業を行う者に対して、中小企業信用保険の特別措置、産業基盤整備基金による債務補償、地方税の不均一課税に伴う減収補填措置等の措置を講ずる。
オ.民活法を一部改正して輸入貨物を取り扱う業務を支援する事業の用に供する施設等を民活法の特定施設に追加する。
[2] 特に輸入促進が必要かつ適切な特定製品の輸入を行う事業者に対して、産業基盤整備基金による債務保証及び中小企業信用保険の特例措置を講ずる。
(2)対内投資事業円滑化措置
[1] 特定対内投資事業者(一定の要件を満たすことについて主務大臣の認定を受けた外資系企業)に対して、産業基盤整備基金による債務保証、税制の特例措置及び中小企業信用保険の特例措置を講ずる。
[2] 従業員の研修、就職情報の提供等対内投資事業を支援する事業を行う者に対して、産業基盤整備基金による出資を行う。
(3)施行期日 平成7年11月16日
フォーリン・アクセス・ゾーン(FAZ)とは
●「輸入の促進及び対内投資事業の円滑化に関する臨時措置法(輸入・対内投資法)」に基づき輸入の円滑化のため、港湾・空港及びその周辺地域において輸入に関する施設、事業、活動を集積させる輸入促進地域(フォーリン・アクセス・ゾーン: FAZ)を設定。
●その中核として、第3セクター等が中心となって、[1]輸入品物流支援施設(保管・荷さばき施設等)
[2]輸入ビジネス支援施設
(輸入品展示施設、輸入品情報センター、デザイン・イン・センター等)
[3]輸入品加工・卸業務施設等の輸入促進基盤施設を整備。
●また、当該第3セクター等は、輸入関連の情報提供、輸入関連機器リース、輸入貨物の管理等輸入拡大・円滑化のためのサービスを提供。
(以上を「輸入促進基盤整備事業」と言う)
●更に、輸入促進基盤整備事業に係る施設を利用して行われる輸入貨物を取り扱う事業のうち輸入の促進に寄与すると認められるもの(「輸入貨物流通促進事業」と言う)を支援。
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「輸入の促進及び対内投資の円滑化に関する臨時措置法」の体系
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輸入促進地域:港湾、空港及びその周辺地域(フォーリン・アクセス・ゾーン:FAZ)
輸入促進基盤整備事業:輸入貨物の蔵置、加工、展示、運送その他輸入貨物を取り扱う事業の用に供する施設の設置及び運営を行う事業
(1)物流高度化基盤施設
(2)卸共同流通ターミナル
(3)港湾業務用施設
(4)輸入促進高度化施設
[1] マーケティングコンサルタント等輸入貨物を取り扱う事業を支援する事業のための施設
[2] 日本市場にフィットした商品の研究開発等を行うための施設
主務大臣:通商産業大臣、運輸大臣、農林水産大臣、自治大臣
総合保税地域:輸入貨物の蔵置、加工、展示等の機能を総合的に活用できる保税地域
特定集積地区:輸入促進地域のうち、輸入貨物流通促進事業の集積を特に図ることが適当と認められる地区
輸入貨物流通促進事業:輸入促進基盤整備事業に係る施設を利用して輸入貨物を取り扱う事業
 
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