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4.調査結果
4.1 精度管理結果
1) 検出下限値
 各試料の分析実施前に、分析対象物質を十分検出できることを確認するため、検出下限値の確保を行った。
 本調査では、資料編付表−1に示すように目標検出下限値を概ね1桁下回り、全試料について目標検出下限値を満足した。
2) 二重測定
 試料10検体ごとに1回の割合で行い、個々の分析値が平均値の±30%以内であることを確認した。
 資料編付表−2にダイオキシン類の二重測定結果を示す。変動幅は最大で±25%であり、全試料(4検体)で目標とする±30%以内であった。
4.2 底質分析結果
1) 現地観測結果
 各調査地点における、採泥時の現地観測結果を表−4.1に示す。
 その結果によると、大部分がシルト質であり、灘中央部のSt.5〜8を除く調査地点で硫化水素臭が確認された。また、約半数の調査地点で貝片が混入物として確認された。
2) 柱状泥観察記録
 柱状泥試料の現場観察結果を図−4.1に、このうち年代測定用の試料としたコアサンプルの層切り後の観察結果を資料編付表−4に示す。
 St.2を除く調査地点では、泥の性状はシルト質であり、St.2では少量の砂が混じったシルトであった。St.1では表層から14cm程度まで生物孔が確認されたものの、他の調査地点では、表層にみられる程度であった。泥色は、St.3、4ではオリーブ黒色であり、St.1、2及び5ではオリーブ灰色であった。混入物としては、表層から最深層における多くの層で貝片が確認された。
3)底質分析結果(ダイオキシン類を除く)
 表−4.2〜4.3に各調査地点における表層泥及び柱状泥の底質分析結果を示す。
 強熱減量は、全試料(表層泥及び柱状泥)で3.3〜10.3%であり、柱状泥では深くなるほど強熱減量は小さくなっていた(図−4.8(1)(2)参照)。柱状泥における強熱減量の平均値は4.2〜9.1%であり、相生沖のSt.3では全般に大きくなっていた。全地点における表層泥の強熱減量は3.6〜10.0%で、灘中央部とSt.3で大きくなっていた。
 含水比は、全試料(表層泥及び柱状泥)で62〜472%であり、柱状泥では深くなるほど含水比は小さくなっていた(図−4.8(3)(4)参照)。表層泥の含水比は81〜269%であり、強熱減量と同様の分布傾向であった。
 粒度組成は、St.2、7及び9では細砂が40%以上を占めていたがSt.1、3、4、6、8及び10では、シルト粘土が90%以上を占めていた。
表−4.1 現地観測結果
  調査地点名 緯度 経度 調査日 採泥時間 採泥当日の天候 潮位(m) 気温(℃) 水温(℃) 泥温(℃) 性状 泥色 臭気 混入物



St.1 34°28′03″ 134°41′49″ H.13.7.16 11:53〜12:35 0.47 24.4 21.9 21.4 シルト 暗オリーブ灰 微硫化水素臭 なし
St.2 34°41′13″ 134°40′20″ H.13.7.16 09:28〜10:41 0.76 24.6 22.0 21.5 シルト 暗オリーブ灰 微硫化水素臭 貝片
St.3 34°43′01″ 134°27′55″ H.13.7.18 10:19〜11:02 1.00 24.5 23.0 21.8 シルト 暗緑灰 強硫化水素臭 貝片
St.4 34°38′18″ 134°18′47″ H.13.7.18 08:56〜09:44 1.54 24.6 23.9 22.9 シルト 硫化水素臭 貝片
St.5 34°19′46″ 134°18′51″ H.13.7.17 10:43〜11:28 0.81 26.3 22.8 21.1 シルト 暗オリーブ灰 なし なし



St.6 34°33′46″ 134°36′47″ H.13.7.16 11:17〜11:35 0.50 24.6 20.8 19.4 シルト 暗オリーブ灰 なし なし
St.7 34°19′17″ 134°37′26″ H.13.7.16 13:19〜13:29 0.43 25.0 21.3 20.0 砂混じりシルト 暗オリーブ灰 なし なし
St.8 34°26′32″ 134°32′44″ H.13.7.17 09:38〜09:53 0.76 26.4 20.1 18.7 シルト 暗オリーブ灰 なし なし
St.9 34°33′03″ 134°26′48″ H.13.7.17 12:31〜12:38 0.43 26.8 20.3 19.3 砂混じりシルト 暗オリーブ灰 微硫化水素臭 貝片
St.10 34°26′30″ 134°24′31″ H.13.7.17 11:56〜12:05 0.60 26.6 21.2 20.2 シルト 暗オリーブ灰 硫化水素臭 なし
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図−4.1 柱状泥観察結果
表−4.2(1) 底質分析結果(柱状泥)
      平均値(最小〜最大)
地点名 強熱減量(%) 含水比(%)
St.1 7.4(6.4〜8.6) 150(119〜288)
St.2 4.2(3.3〜5.3) 81(62〜140)
St.3 9.1(8.2〜10.3) 227(191〜472)
St.4 7.0(3.4〜8.7) 133(102〜261)
St.5 5.6(4.6〜6.5) 104(77〜185)

地点名 土粒子密度(g/cm3) 単位堆積重量(g/cm3)
St.1 2.590(2.539〜2.647) 1.336(1.186〜1.392)
St.2 2.635(2.545〜2.699) 1.530(1.339〜1.621)
St.3 2.567(2.506〜2.634) 1.235(1.118〜1.270)
St.4 2.602(2.551〜2.801) 1.368(1.205〜1.437)
St.5 2.611(2.572〜2.661) 1.441(1.274〜1.537)
表−4.2(2) 底質分析結果(表層泥)
地点名 強熱減量
(%)
含水比
(%)
土粒子密度
(g/cm3)
St.1 8.8 264 2.554
St.2 4.1 90 2.611
St.3 10 260 2.508
St.4 7.8 177 2.589
St.5 6.3 131 2.583
St.6 10 264 2.528
St.7 3.6 81 2.686
St.8 8.7 239 2.588
St.9 4.5 97 2.599
St.10 9.2 269 2.545
表−4.3 播磨灘表層泥の粒度試験結果
            単位:%
地点名 粗礫
(75-19mm)
中礫
(19-4.75mm)
細礫
(4.75-2mm)
粗砂
(2-0.425mm)
細砂
(0.425-0.075mm)
シルト
(0.075-0.005mm)
粘土
(0.005mm以下)
st.1 0 0 0 0 3 51 46
st.2 0 1 0 5 48 17 29
st.3 0 0 0 0 1 44 55
st.4 0 0 0 1 4 56 39
st.5 0 0 1 0 23 41 35
st.6 0 0 0 1 0 49 50
st.7 0 0 0 1 44 37 18
st.8 0 0 0 0 1 55 44
st.9 0 0 1 13 43 11 32
st.10 0 0 0 0 2 40 58
4)堆積年代
 各調査地点の平均重量堆積速度及び平均堆積速度を表−4.6に、堆積年数の測定結果を資料編付表−6及び付図−1に示す。積算重量深度に対する含水率及び210Pbの分布から、底泥の擾乱はないものと考えられ、全ての調査地点で堆積年数の特定ができた。平均重量堆積速度は、St.3を除く4地点で0.27〜0.36g/cm2・y、相生沖のSt.3では0.45g/cm2・yとなり、平均重量堆積速度が大きくなっていた。平均堆積速度は、0.48〜2.29cm/yであり、同じくSt.3で大きくなっていた。
表−4.4 平均重量堆積速度及び平均堆積速度調査結果
調査地点 得られた堆積年 平均堆積速度
(0-2cm)
平均重量堆積速度
St.1 1999〜1906 1.18cm/y 0.36g/cm2/y
St.2 1998〜1897 0.48cm/y 0.27g/cm2/y
St.3 2000〜1946 2.29cm/y 0.45g/cm2/y
St.4 1999〜1899 0.81cm/y 0.27g/cm2/y
St.5 1999〜1898 0.74cm/y 0.33g/cm2/y








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