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BENIN ベニン
1997年ハンセン病制圧達成
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■研修センターでの実地研修
 
療養所から在宅での治療へ
ベニンでは伝統的にハンセン病は悪の化身と考えられ、邪悪な力によって与えられた呪いや、慣習に背いた人を先祖が罰するための病気だと信じられていました。反宗教的・反社会的な病気と考えられたハンセン病にかかった人は、社会から完全に排除され、奥地で小さなコミュニティを作って生活していました。
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 1960年代初めに、患者の早期治療の実施のために、移動診療班が検診活動を行ない、ハンセン病と診断された人にはダプソン(5ページ参照)の配布を行ないました。さまざまなボランティア・グループが治療やリハビリテーションを開始し、ハンセン病に対する初めての真剣な取り組みが始まりました。
 ベニンは1987年にMDT(多剤併用療法)を試験的に導入しました。その成果は予想をはるかに超えるもので、定期的に治療を受ける患者が全体の80%を超え、治癒率は約90%にもなりました。MDTが安全で、簡単、治療期間が短く、効果があることが分かってくると、ベニン政府は、ハンセン病対策を一般的な保健所の業務に組み入れ、全土へMDTを普及させました。保健所での治療を可能にすることによって、コストを抑え、大多数の患者が、在宅で簡単に治療が受けられるようになりました。研修を受けた看護婦にハンセン病対策を管理させ、各地域や地方での活動を徹底するために、ハンセン病対策専門の看護婦の研修も行ないました。
 その結果、1993年までには、ベニン全土にMDTが普及しました。啓発活動を強化し、ハンセン病の症状ではないかという疑いをもった人々が、自ら進んで診断を受けに来るように奨励しました。同時に、村落や学校に出向いて集団検診を行ない、早期に診断・治療する努力もしました。1993年に人口1万人あたり1.80人だった罹患率が、1996年には1.10人に、1997年には0.88人になり、ベニンも公衆衛生問題としてのハンセン病の制圧を達成しました。
 人口約600万人のベニンには、かつてハンセン病療養所が20ヵ所もありましたが、現在はすべて、地域住民の健康を管理するための保健所や、保健従事者のための研修センターに生まれ変わりました。
 
1万人当たりの罹患率
1996年 1.10人
   ↓
1997年 0.98人
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■学童に対する啓発活動








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