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[37] バーチャルヒューマンモデルによる作業性、安全性の研究 ―第三報 重筋作業時の身体負荷について―
奥本泰久、村瀬晃平、中馬越幸次(近畿大)
 
 造船作業の中には自動化が進んだとはいえ、今だ重筋作業も多くみられる。本稿はこれらの作業として、重量物の持ち上げ、運搬、押し、引きを取り上げ、事故や作業能率低下につながる関節への静的負荷、腰痛の発症要因となる腰椎に作用する圧縮力および肉体疲労の原因になる消費エネルギーについて、バーチャルヒューマンモデルによるバイオメカニックス的な解析を行った。下図左は荷物持ち上げ時のヒューマンモデル、右は荷重と人体の消費エネルギーとの関係を示しており、荷重が30kg以上になると消費エネルギーが許容値8.245cal/minを超えていることがわかる。

荷物持ち上げ時の消費エネルギー

[38] ソフトウェアエージェントによる異分野協調業務支援の研究(第2報) ―コミュニティ形成支援―
安藤英幸、伊藤博子、大和裕幸(東大)
 
 本研究第一報では、マルチエージェントによる協調作業支援環境(ACE)を構築し、メッセージ管理を通した協調作業支援手法について述べた。本報ではコミュニティ形成支援の追加を目的として、エキスパート推薦システム(Expert Recommender)を構築した。従来のRecommender Systemsで研究が行われてきたcontent-basedフィルタリングとcollaborativeフィルタリングを組み合わせる方法を採用した。従来のエキスパートのモデル手法に、セッションモデルを追加し、これらによるメッセージ情報からのエキスパート推薦手法を述べた。


[39] 荒天対応型大型油回収装置の開発(その1)
小野志郎(三井造船)、末田高嗣(造船基盤協会)、岩崎 徹、
中川寛之、山賀秀夫、小澤宏臣(三井造船)
 
 本研究では、波浪中において高粘度油に対応可能な吸引ポンプとして全口径型ジェットポンプを選定し、油槽実験などにより高粘度油吸引特性を把握した。本ジェットポンプは0.1m2/s(10万cst)以上の高粘度油でも水とほぼ同等の吸引性能を有していること、波浪中で吸引口が空中に露出しても吸引性能をすぐに回復すること、高粘度油中の異物を問題なく吸引可能であることが判明し、高粘度油回収装置に本ポンプが適用可能であると判断した。また、回収油水中の水を分離して貯油効率を上げる必要があるため、高粘度油を効率よく回収可能と想定した重力式油水粗分離装置の研究開発を行った。その結果構造様式は高粘度油を装置の前方から排出することを特徴とする高粘度油前方排出方式が適用可能であることが確認された。

高粘度油の吸引状況

[40] 荒天対応型オイルフェンスの開発(その2)
小林英一(三菱重工)、末田高嗣(造船基盤協会)、西村好之
大江清登(三菱重工)、池上国広(長崎総科大)、山瀬晴義(ブリヂストン)
 
 前研究では荒天対応型のオイルフェンスの概念設計を行ったが、本研究では荒天下においても十分な強度を有するオイルフェンスとするため、波浪強度に関する水槽実験を行い、伸び剛性の低いテンションメンバー採用により張力が軽減されることが分かり、この結果に基づきオイルフェンスの基本計画を実施した。さらに荒天中においてこのオイルフェンスシステムを母船から海上へ投入しまた回収するハンドリングシステムについて基本設計を行い、最大波高6mの海象でもハンドリング可能なことを相似模型による水槽実験で確認した。さらに1/2縮尺の大型模型により投下実験などを実施し成立性を実験的に検証した。

ハンドリングシステム








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