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(2) 動油圧式リモコン
 動油圧式は、別置きの油圧ポンプにより発生させた圧力油を、受動部の操作に見合った一定の油圧{2.0MPa(20kgf/cm2)程度}に保ち、切換弁とパイロット弁により始動部の操作を受動部の制御機構に伝え受動部のピストンを圧力油により動かし、制御する装置である。(2・219図)
 受動部の操作力が大きい場合でも油圧を高めたり、パワーピストンの受圧面積を大きくすることで対応が出来るため、中大型船に多く用いられている。
 ガバナ側の場合は、2・220図及び2・221図に示すように始動部のハンドルを操作すると、カムは始動部のピストンを動かし、リンクピン下部の弁は補助バネにより閉じるので、管内は密閉され、ピストンの動きは作動油により、受動部のパイロット弁に伝わる。パイロット弁の動きは、別経路からの強制油圧により受動部のピストンを動かし、ガバナスプリングを押してエンジンの回転を上昇させる。
 
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2・219図 動油圧式リモコン配管系統図
2・220図 ガバナ始動部の構造
 
2・221図 ガバナ受動部の構造
    
 又、ハンドルを下げるとパイロット弁が戻り、強制油圧は排出口より逃げ、ガバナスプリングにより受動部ピストンが押し上げられ回転が低下する。
 クラッチ側の場合、2・222図に示すように受動部には内側ピストンの両端に、中心部に穴のあいた外側ピストンがはまっており、切換弁が中立の位置では、両側に油圧がかかっているが、切換弁ハンドルを前進に入れると、受動部ピストンの前進側(図のA側)に油圧がかかり、(外側ピストンは中立位置以上反対側に動かない構造となっているため)内側のピストンとB側の外側ピストンのみをB側一杯に動かし、後進側の油はピストンに押されタンクに戻る。
 つぎにハンドルを中立にすると、ピストンの両端に油圧がかかり、受圧面積の大きいB側の受ける力が大きいため内外ピストンともA側方向に動く、内側ピストンがA側の外側ピストンの位置まで動くと両側の受圧面積が同じとなるのでピストンは止まり中立が保持される。(2・222図)
2・222図 クラッチリモコンの作動図
 なお、動油圧式には1ハンドル式が多く採用されているが、連結ピンをはずせば2ハンドルとして使用出来る構造となっている。
 








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