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2. 研究の目標
 ISM コードの基本となっている安全運航管理システム(SMS)の総合研究及びその根幹をなす総合品質管理(TQM)―TQMの基本的な考え方はPlan−Do−Check−ActからなるPDCA サイクルを効果的にまわすこと―からなるFSS研究の概要に関しては平成9年度・1O年度に実施したSR238「新しいフリートサポートシステムの研究」の結果としてまとめられている。
 その研究を進めるにあたり、図2.1の様にFSS システムモデルとして代表的なサブシステムの位置付けを例示している。船陸一貫システムとして計画している。
 
Plan : TQM Planning Center(陸上)
  現状分析と問題の認識、具体的な目標の設定、考慮すべき制約条件の認識
  可能な改善方策の探索、実施計画の決定、チェック及び評価方法の設定
Do  : Operation Center(陸上)、Ship Board(船) 計画に基づいた実施
Check : Evaluation(陸上、船)あらかじめ決めてある評価法による目標値との比較
Act  : Evolution(陸上、船) 更なる改善のための工夫
 
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図2.1 FSSシステムモデル
 本研究では、SMS業務の主目的である運航管理を「航海系の管理」と「機関系の管理」に大別するとともに、運航管理(航海系)と保全管理の双方に関連する「船体の管理」ならびに運航管理(機関系)と緊急対応の双方に関連する「船装の管理」に着目し、銘々にWorking Groupを設置した。各WGでは現状のSMS業務の特徴から問題点を特定し、FSSとしての新しい運航管理スタイルを提案するとともに、提案スタイルを実現するための機器・システムについて設計、開発を行い、実証的な試験を通じて提案の有効性を確認するものとした。各WGでの機器・システムの開発に当たっては、ネットワーク接続などWGに共通する基盤技術や、共通して利用される機能について、別個に「全体調整」を行うWGを設け、ここで検討・開発するものとした。表2.1に目標を示す。
 しかし、全ページに示す通り、Ship Boardのサブシステムでもかなりの数のシステムがあり、更に船と陸上を結ぶシステムまで含めると通信システムまで考慮すべき事項となりすべてを網羅するシステムを構築することは不可能である。従って、本研究の目標としては、各WGにおいて代表的なシステムのプラットフォームを作成し、船陸問でこれが全体としてまわることを確認することを第一義とした。他のシステムも同様な手法で作成していけると考える。
表2.1 各WGの役割と目標
FSSの目的 WGの役割
船舶運航の管理スタイルとしてPDCAサイクルを形成し、輸送サービスの品質による差別化を行い、国際競争力のある船舶運航管理システムを構築する。 WG1全体システム
[1]WG2からWG5に共通して利用される要素技術を調査検討する。
[2]FSSとしての要素技術の利用規定を検討・策定する。
[3]各WGにて提案される新しい運航管理のスタイルを調整し、フリート全体としての運航管理スタイルを検討する。
[4]各WGに共通して求められる機能、ならびにフリート全体の運航管理に必要な機能について設計・開発する。
WG2航海関係システム
[1]航海系管理業務に着目した新しい運航管理のスタイルを提案する。
[2]提案するスタイルに準じたシステムを構築する。
WG3船体関係システム
[1]船体管理業務に着目した新しい運航管理のスタイルを提案する。
[2]提案するスタイルに準じたシステムを構築する。
WG4機関関係システム
[1]機関系管理業務に着目した新しい運航管理のスタイルを提案する。
[2]提案するスタイルに準じたシステムを構築する。
WG5船装関係システム
[1]船装管理業務に着目した新しい運航管理のスタイルを提案する。
[2]提案するスタイル準じたシステムを構築する。








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