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1. 研究の目的
 国際海事機構(IMO)の船舶安全運航に関するISM(International Safety Management)コードは既に1998年7月から一部船舶について適用され、2002年には全船舶に適用予定となっている。ISM コードは全社責任に基づく安全運航管理システム(SMS−Safety Management System)の確立と組織活動(全社、船、乗組員全体)による履行を管理会社に対して法的に要請する規制である。すなわち従来の船舶における自己完結型(船長責任)から陸上組織を含めた組織管理型(会社責任)への管理責任の移行を意味し、船舶管理の基本理念を変える大転換である。
 また、従来のIMO 国際条約が行ってきた規制は、ともすれば本質的に最小限の要求に留まる性格を持っているが、ISM コードにはその基本理念を総合品質管理―TQM(TotaI Quality Management)においていることから、グローバルスタンダードと総称される諸標準―例えばISO9000シリーズ等―の流れを強く引継いでいる。以前のISO規格すなわち1994年版では、どちらかというと記録と報告に重点がおかれて品質改善という点からあまり評判は良くなかったが、2000年12月に新バージョンに移行した2000年版では品質による競争を促し、その継続性向上によって差別化を図る姿勢を強く打ち出している。
 本調査研究「新しいフリートサポートシステムの開発」は上記ISM コード時代を踏まえ、「海上輸送の安全とサービスの向上が継続的に生まれる、安全で使い易い船は何か」という視点から、新しい形の船づくりを求める造船(メーカー)と海運(ユーザー)が知恵を出し合って行う共同研究である。フリートサポートシステムに関しては既に平成9−10年度の行われた調査研究「新しいフリートサポートの研究」からスタートしており、今回の平成11−13年度に行った調査研究はこの成果及び活用の提案を受けて更に突っ込んだ調査研究を行ったものである。
 従って、造船・海運がその知見を集め、これからの船舶安全運航管理にとって真に必要な機器・システムの機能要件である運航システムを研究開発し、造船・海運の双方に新しいニーズの発掘、市場における優位性といった付加価値をもたらすとともにそれらを通じて船舶の安全運航に寄与することを目的とした。








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