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SR240 新しいフリートサポートシステムの開発 要約
Ship Research Panel 240 Development of the Fleet Support System
Summary
 
 The ISM Code has been effective in 1998.Although ship management companies elaborated the Safety Management Systems in accordance with the ISM Code,it seems to be insufficient to establish a continuous improvement process.The Fleet Support System(FSS)Project aimed at a framework of total quality management system within SMS considering the effective job sharing of onboard-shore and man-machine systems introducing the PLAN-DO-CHECK-ACT cycles.
 The PLAN-phase is not only a definition of the process,it should also identify the evaluation process.The DO-phase is execution of the PLAN.The CHECK-phase measures the difference between the target level and the process results.Then the ACT-phase treats improving processes and revises the PLAN.
 It is necessary that the accountable target level to be clearly identified in the PLAN-phase reflecting the customer's(Shippers and Consignees)requirements.The FSS project had to provide numerical criteria first for watching target ships,the traffic congestion,the course keeping performance and the seaworthiness for navigational systems as an example.
 This project is composed of five working groups.Each working group chose items of the present SMS manual,discussed new management styles that forms PDCA cycles better,and developed machinery systems in accordance with them.
 The WG1 studied computer programming and telecommunications technology,prescribed the communication protocols,provided the common facilities within all working groups,and developed the shore-based management system.
 The WG2 studied the Watch Keeping processes prescribed the PDCA cycles with objective judgments to traffic environments,and developed onboard systems to handle the Passage Plan includes these judgment criteria.
 The WG3 studied the seaworthiness management during individual voyages as well as ship's lifecycle.It defined the seaworthiness,and set the numerical value for criterion to judge to keep seaworthiness.And it developed systems to monitor the relation between sea state and ship motion.
 The WG4 studied the Main Engine operation,maintenance,and document management,and developed systems with actual data obtained from a container ship.
 The WG5 studied the fire monitoring,and emergency operation,and developed monitoring system through the examination of thermography.
 
1. 研究の目的及び目標
 本調査研究「新しいフリートサポートシステムの開発」はISMコード時代を踏まえ、「海上輸送の安全とサービスの向上が継続的に生まれる、安全で使い易い船は何か」という視点から、新しい形の船づくりを求める造船(メーカー)と海運(ユーザー)が知恵を出し合って行う共同研究である。従って、造船・海運がその知見を集め、これからの船舶安全運航管理にとって真に必要な機器・システムの機能要件である運航システムを研究開発し、造船・海運の双方に新しい二一ズの発掘、市場における優位性といった付加価値をもたらすとともにそれらを通じて船舶の安全運航に寄与することを目的とした。
 本研究の目標は、安全運航管理システム(SMS)を研究し、総合品質管理(TQM:Total Quality Management)を実施する船陸一貫システムを構築することにある。
 TQMの要件は、以下のPDCAサイクルを形成することとしている。
 
 Plan  : TQM Planning Center(陸上)
  現状分析と問題の認識、具体的な目標の設定、考慮すべき制約条件の認識
  可能な改善方策の探索、実施計画の決定、チェック及び評価方法の設定
 Do   : Operation Center(陸上)、Ship Board(船) 計画に基づいた実施
 Check : Evaluation(陸上、船) あらかじめ決めてある評価法による目標値との比較
 Act  : Evolution(陸上、船) 更なる改善のための工夫
 
2. 研究の内容
(1) 研究の体制
 本研究では、「航海系業務」、「船体管理業務」、「機関系業務」、「船装管理業務」のそれぞれについてWorking Groupを設置した。各WGではFSSとしての新しい運航管理スタイルを提案するとともに、提案スタイルを実現するための機器・システムについて設計、開発を行い、実証的な試験を通じて提案の有効性を確認するものとした。
 各WGでの機器・システムの開発に当たっては、ネットワーク接続などWGに共通する基盤技術や、共通して利用される機能について、別個に「全体調整」を行うWGとしてWG1を設け、ここで検討・開発するものとした。
(2) WG1全体システム
 WG2からWG5にて提案される運用スタイルの統合(全体運用)を検討した。
 各WGの開発システムに関する要素技術の調査した。
 全体運用にて求められる機能の特定し、設計・開発を行った。
 WG2およびWG3の開発システムを統合し、PDCAサイクルに準じる模擬運用を実施した。
(3) WG2航海関係システム
 航海当直にあたる人員の作業量ならびに航行環境監視・判断基準についての継続的な改善活動の流れを提示した。
 航行環境監視・判断基準が盛り込まれたパッセージプランを運用するため、船上システムとしての機能配分を検討した。
 上記の機能配分に従い、船上における管理レベルのシステム(航海計画管理システム、航海実績システム)と監視レベルのシステム(航行保全システム−1航行保全システム−2)を開発し、それぞれネットワーク接続を図った。
(4) WG3船体関係システム
 耐航性に関する概念を整理し、耐航性を表す指標(耐航性基準)について検討・選定した。
 耐航性基準に着目した管理運用フロー(PDCAサイクル)を検討した。
 管理運用フローに準じて耐航性管理システム、ならびに耐航性監視システムを開発した。
 耐航性監視システムを船上システムの一部としてWG2のネットワークに組み入れた。
(5) WG4機関関係システム
 機関管理モデルならびにPDCAサイクルを策定し、機関管理指針ならびに信頼性評価手法を検討した。
 機関管理モデルに準拠したシステム(機関管理システム)を開発した。
 機関診断技術の向上に向け実船計測を通じて、運転管理データ項目の提案を行った。
 燃料油性状の管理データを整理し、機関管理システムとの連携について整理した。
(6) WG5船装関係システム
 早期火災発見のための要素技術の調査・検証し、機関室防災システムの設計・開発を行った。
 また、緊急対応支援システムの設計・開発を行い、緊急時の対処判断に関するフリート全体としての対応策を検討した。
3.成果
 全体運用の例として、陸上での航海計画(パッセージプラン)の策定と実施、モニタリング、実績分析確認のスタイルを策定し、船上システムとしてWG2とWG3での開発システムの統合を図った。全体運用として必要な陸上システムを設計・開発した。
 今回のパッセージプラン運用例の確認に際しては、実際のデータの蓄積に基づいたACTには至っていない。しかしながら、提案する運用スタイルに準拠した機能の実現について確認できたと考える。
 その他、要素技術として、分散処理技術であるCORBAを調査し、船上システムにおいてパッセージプランの運用に適用した。また、情報記述・伝達様式としてXMLを調査し、パッセージプランの記述、海図オブジェクトの記述に適用した。
 共通機能として、センサデータサーバを開発し、また、水路情報DB、気象海象DBを整備し、サーバとしての機能の実現を図った。
 WG4においては、機関管理業務について新しい管理スタイルを策定することができた。かつ実船計測を通じて、燃焼診断に筒内燃焼圧、ライナ温度のデータが有効であると確認できた。
 WG5においては、新しい機関室防災システムと運用スタイルを提案するとともに、船陸での緊急対応業務を支援するシステムを構築し、その有用性を確認した
 








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