日本財団 図書館


第3部 他産業の参考事例
1.設計協同組合(建築設計業)
 「全組合員と組合事務局のコンピュータをインターネットで接続、業務の効率化を図る」
(1)組合概要
  地元の専業設計事務所約70社(所属の一級建築士約300名)が設立した同業種型組合である。
[1] 一社では受注できない特殊な建築や大型建築物などの設計を受注する共同受注をはじめ、各種の事業を通じて、相互扶助と技術の発展を図ること。
[2] お互いの力を結集して組合員全体の利益を図り、また組合の業務を通じて、各組合員の経営合理化と体質改善を進めること。等を設立の目的としている。
(2)情報ネットワークシステムの構築
 建設省(現国土交通省)は2004年を目途に各種書類を全廃し、全てをコンピュータ処理するCALSシステムの導入を推進しており、これへの対応ができない企業は取引から排除されることが予想され、危機感が高まっていた。
 そこで当組合は、ネットワーク時代の到来により、情報伝達手段としての紙の有効性が低下し、コンピュータによる正確かつ迅速な通信環境を整備することが業界の進歩・発展に寄与するものと考えた。
(3)具体的な事業内容
[1]共同受注事業の拡大や新規受注開拓に役立つ各種情報を共有するシステムの構築
[2]積算業務に必要とされる図面・設計図等をオンラインで転送するシステムの構築
[3]建設省等のCALSから入手した情報を組合の電子掲示板に掲示し、組合員が自由に閲覧活用できるシステムの構築
[4]組合員のコミュニケーションを図る基盤整備  (メールアドレス・掲示板・フォーラム等)
[5]組合及び組合員に関わる情報のセキュリティシステムの構築
(4)事業実施による成果
〈組合員にとって〉
[1]入札情報や建設基準法の改正点などの情報を素早く入手できるようになったこと。
[2]双方向のネットワークシステムにより仕事上の情報交換が容易になったこと。
〈組合にとって〉
[1]組合員に対する情報伝達が容易になったこと。
[2]共同受注、建設積算の共同受注に活用できたこと。
[3]システム内に共同図面庫を設置したため図面の出し入れが容易になったこと。
(5)各(社)地方小型船舶工業会への適用
 情報技術の急速な発展を背景に、企業も対応を迫られている。
 既述「想定される対応策等」に見るとおり、多くの対応策は情報システムの導入がなければ実施できない。各(杜)小型船舶工業会においても、情報化をどのように進めていくか、衆知を集めて検討する時期にきている。
 個別企業の情報化、会員相互間や事務局と会員間をインターネットで結ぶことによって、当設計協同組合が挙げた成果を共有することが可能となる。
 
(注)CALS
 生産・調達・運用支援統合情報システム。製品の設計、開発、生産、メンテナンス、流通までのデータをすべてコンピューター管理する。(現代用語の基礎知識)
2.協同組合臨海団地(製造業)
 「情報化とIS0取得で組合員の経営基盤の強化」
(1)組合概要
 団地に入居している製造業者11社が設立した工場団地組合である。
 平成3年から「情報化」事業を始め、現在では高度な情報化システムを構築している。
(2)基幹システムの発展過程
[1]団地内の電話回線一元化
[2]インターネット専用線の導入
[3]インターネット・サーバーの導入
[4]構内PHSシステムの開始
 広い工業団地内でも一人一人に一般通話(内線通話)が可能となるシステム
[5]PHS構内システム
〈効果〉
○外部からの電話をすぐに担当者につなぎ、お客を待たせない
○電話アクセス時間が削減できる
[6]今後の目標
 情報化と組合員に対する指導・啓蒙を行い、「全組合員が当たり前にシステムを活用できる環境」を作る。
(3)ISO9000シリーズの取得
 組合員のISO取得を推進
(4)情報化とISO取得により期待される効果等
[1]組合員企業の経営の効率化・合理化
[2]情報の共有化
[3]「技術の共有化・人材の共有化」の推進
  推進を支援するために
○組合員は一層の連携を高める
○組合は情報発信基地としての地位を確立する
(5)各(社)地方小型船舶工業会への適用
 本事例は団地組合のケースである。造船団地の場合は一つの参考になる。
 また、団地の実情にあわせて、バイ・ステップで情報化を進めている点は、団地に加盟していない企業・組合にとっても参考になる。(参考:先進組合―事例抄録)








日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION