第2部 各種支援策
各(社)小型船舶工業会が地域の実情に即した「経営基盤強化計画」を作成し、国土交通大臣の承認を得て事業を実施すると、各(社)小型船舶工業会及び事業参加造船所に対して各種支援措置が講じられるというものである。
具体的な内容は以下のとおりである。
(1)政府系金融機関による低利融資制度
(1)中小企業経営革新等支援貸付制度 |
対象者 |
1 特定業種に指定されている業種に属している中小企業者
2 1の者であって、承認を受けた経営基盤強化計画に参加している中小企業者 |
支援内容 |
本貸付制度は、中小企業経営革新支援法に基づき、特定業種に指定されている業種に属する事業を行う中小企業者及び組合等の作成した「経営基盤強化計画」に従って行う経営基盤強化事業に必要な設備資金、(長期)運転資金について下記の要件に従って融資を行う制度です。
イ貸付利率
a 設備資金
対象者1:基準利率
対象者2:2.7億円(国民生活公庫は7,200万円)を限度として特別利率(土地に係る資金を除く。)
b (長期)運転資金
対象者1:基準利率
対象者2:特別利率
ロ貸付限度額
a 個人又は法人:設備資金7.2億円
(うち長期運転資金2.5億円)
b 組合:14.4億円〜24.0億円
(注)国民生活公庫:設備資金7,200万円
(うち運転資金4,800万円)
ハ貸付期間
a 設備資金:原則15年以内(うち据置期間2年以内)
ただし、実情に応じ20年以内
b 長期運転資金:原則 5年以内
ただし、実情に応じ 7年以内
(うち据置期間1年以内 ただし、実情に応じ3年以内)
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備考 |
貸付を受ける場合には、経営基盤強化計画の承認の他に各政府系金融機関の金融審査を受けることが必要です。
なお、経営基盤強化計画の承認は貸付を保証するものではありません。
金利水準は金融情勢により改定されることがあります。 |
問い合わせ先 |
中小企業金融公庫(本店) 電話03-3270-1287(代表)
商工組合中央金庫(本店) 電話03-3272-6111(代表)
国民生活金融公庫相談センター
(東京)電話03-3270-4649 (名古屋)電話052-211-4649 (大阪)電話06-6536-4649 |
(2)高度化融資制度
高度化融資制度 |
対象者 |
経営基盤強化計画に基づき高度化事業を実施する組合等 |
支援内容 |
承認を受けた経営基盤強化計画に従って承認中小企業者等と他の中小企業者相互による合併・出資会杜であって、当該承認経営基盤強化計画に基づき経営の相当部分の向上又は経営基盤の強化を円滑かつ適切に実施する事業を高度化融資制度の対象とする。
○一般高度化事業
【企業合同形態】
・金利:1.5%(※)
・償還期限:20年以内
・据置期間:3年以内
・融資割合:80%以内
(※)金利は年1回毎に見直しを行います。平成13年度に貸付決定が行われたものは1.5%です。 |
備考 |
高度化融資を受ける場合には、主務大臣による計画の承認の他に各都道府県担当課等が実施する診断・指導を受けることが必要です。 |
問い合わせ先 |
都道府県担当部局
中小企業総合事業団高度化推進部 電話03-3433-8811 |
(3)日本財団による融資制度
中小造船業経営革新支援資金 |
対象者 |
経営基盤強化計画に従って事業を実施している船舶、船舶用機関又は船舶用品の製造又は修理業を営む事業者 |
支援内容 |
経営基盤強化事業を実施するために必要な設備資金又は運転資金の融資を対象とする。
イ 金利:1.9%以内
ロ 償還期限
・設備資金
1年以上15年以内
・運転資金
1年以上5年以内
ハ 据置期間
・設備資金
6ケ月以上2年以内
・運転資金
6ケ月以上1年以内
ニ 対象期間
・設備資金
平成13年4月1日から平成18年3月31日までに工事を完了する設備を対象とする
・運転資金
平成13年4月1日から平成18年3月31日までの支払を対象とする
ホ 限度額
・設備資金
所要資金の80%以内とし、1年度10億円
・運転資金
所要資金の80%以内とし、1年度5億円
(注)但し、単年度(4月1日から翌年の3月31日)の取扱いとなります
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備考 |
貸付を受ける場合には、地方運輸局等の長からの推薦状が必要となります。取扱い金融機関は、中小企業金融公庫の代理店となっている銀行、信用金庫、信用組合及び商工組合中央金庫に限ります。 |
問い合わせ先 |
日本財団経理部財務課貸付係 電話03-6229-5142(ダイヤルイン)
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(4)税制面での支援措置
(1)機械等の割増償却 |
対象者 |
経営基盤強化計画の承認を受けた特定組合等の構成員であって、当該計画に係る特定業種に属する事業を主として営む中小企業者 |
支援内容 |
本法に規定する中小企業者であって、経営基盤強化計画について承認を受けた特定組合等の構成員である者が、その経営基盤強化に係る特定業種の属する事業を主として営む場合、各事業年度に有する機械設備並びに工場用建物等について割増償却制度が認められます。
イ 対象設備
本制度の適用を受けようとする事業年度終了の日において、経営基盤強化計画の承認を受けた特定組合等の構成員であって、かつ、当該適用事業年度において同項に規定する特定業種の属する事業で当該経営基盤強化計画に係るものを主として営む場合における機械及び装置並びに工場用建物及びその付属設備
ロ 割増償却額
当該事業年度の普通償却額と特別償却額(普通償却限度額の27%に相当する額)の合計額
※なお、同一の機械・装置について、他の特別償却又は税額控除制度と重複しての適用は認められません。
ハ 適用期間(適用事業年度)
当該経営基盤強化計画の承認のあった日を含む事業年度から、その事業開始の日以降5年を経過した日の前日を含む事業年度までの各事業年度(個人の場合は、計画の承認のあった日の属する年からその年の1月1日以後5年を経過した日の前日の属する年までの各年)。
なお、特別償却不足額がある場合には、1年間の繰越が認められております。
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備考 |
本制度の適用を受ける中小企業者は青色申告書を提出し、更に適用を受けようとする事業年度終了の日において、当該経営基盤強化事業を実施している旨の証明書の交付を、当該特定組合等から交付されている必要があります。 |
問い合わせ先 |
国の機関等
国土交通省総合政策局 |
(2)試験研究関連税制
(試験研究に必要な負担金等に係る税制上の優遇措置) |
対象者 |
経営基盤強化計画の承認を受けた特定業種に属する事業を行う特定組合等及びその構成員 |
支援内容 |
特定組合等が承認を受けた経営基盤強化計画に従って実施する事業に係る試験研究に必要な負担金を構成員に賦課する場合は、以下の税制上の優遇措置が受けられます。
イ 試験研究費の額が増加した場合等の税額控除の対象経費化
構成員は、賦課された負担金を納付した場合には、当該負担金の額を、増加試験研究費の税額控除(試験研究費の額が直近5年間の試験研究費の支出額の多いほうから3年間の平均の額より増加した場合には、増額した額の15%相当額を税額控除できる)又は中小企業技術基盤強化税制(全試験研究費の6%を税額控除)の対象となる試験研究費に算入できます。
※なお、中小企業技術基盤強化税制に関しては、平成13年度まで10%に拡充されております。
ロ 試験研究費賦課金の任意償却
構成員たる中小企業者は、賦課された負担金(機械及び装置を取得し、又は製作するための費用に充てるものに限る)を納付した場合、当該負担金の額を任意償却(損金算入)できます。
ハ 試験研究用固定資産の圧縮記帳
組合等は、構成員から納付された負担金によって取得し、又は製作した試験研究の用に直接供する機械及び装置並びに建物等の固定資産について取得計算の特例(圧縮記帳)の適用を受けることができます。 |
問い合わせ先 |
国の機関等
国土交通省総合政策局 |
(3)特別土地保有税の非課税(地方税) |
対象者 |
承認を受けた経営基盤強化計画に基づき経営基盤強化事業を実施する特定業種に属する中小企業者 |
支援内容 |
承認を受けた経営基盤強化計画に従って事業を実施する者に対する特別土地保有税を非課税とします。
イ 対象となる土地
A 経営基盤強化事業の用に供する土地
B 経営基盤強化計画のうち、施設の設置に係るものにより設置された施設を当該経営基盤強化事業の趣旨に添って利用して行う事業の用に供する土地
ロ 措置の内容
非課税
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備考 |
本制度の適用を受ける中小企業者は特定組合等より、経営基盤強化事業を実施している旨の証明書、非課税対象施設等証明書の交付を受ける必要があります。 |
問い合わせ先 |
国の機関等
国土交通省総合政策局 |
(4)事業所税の非課税(地方税) |
対象者 |
承認を受けた経営基盤強化計画に基づき経営基盤強化事業を実施する特定業種に属する中小企業者 |
支援内容 |
承認を受けた経営基盤強化計画に従って事業を実施する者に対する事業所税を非課税とします。
イ 対象となる施設
経営基盤強化事業の用に供する施設
ロ 措置の内容
非課税
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備考 |
本制度の適用を受ける中小企業者は特定組合等より、経営基盤強化事業を実施している旨の証明書、非課税対象施設等証明書の交付を受ける必要があります。 |
問い合わせ先 |
国の機関等
国土交通省総合政策局 |
(5)中小企業信用保険法の特例
中小企業信用保険法の特例 |
対象者 |
経営基盤強化計画の承認を受けた特定組合等及びその構成員たる中小企業者 |
支援内容 |
承認を受けた経営基盤強化計画に従って特定組合等の構成員が行う経営基盤強化事業に必要な資金について、以下の特例による支援措置が講じられます。 |
(1)普通保険等の別枠設定 |
運転資金等の事業資金に関し、通常の付保限度額と同額の別枠を設けています。 |
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一般 |
別枠 |
普通保険 |
2億円 |
2億円(組合は4億円) |
無担保保険 |
8千万円 |
8千万円 |
特別小口保険 |
1千万円 |
1千万円 |
(2)てん補率 |
普通保険 |
70%→ |
80% |
無担保保険 |
80%→ |
80% |
特別小ロ保険 |
80%→ |
80% |
(3)保険料率 |
普通保険 |
0.57%→ |
0.41% |
無担保保険 |
0.46%→ |
0.29% |
特別小口保険 |
0.33%→ |
0.19% |
 参考 |
中小企業信用保険制度とは、中小企業の方が、市中金融機関からの資金借入の際に信用保証協会の保証を利用するに当り、一定の条件を満たした場合に、中小企業総合事業団において自動的に保険が成立する制度です。この保険制度の下で、信用保証協会は中小企業の方が市中金融機関からの資金の借入を行う際に債務保証を行い、融資を受けやすくします。 |
備考 |
本制度を利用する場合には、経営基盤強化計画の承認とは別に金融機関、各都道府県等の信用保証協会の審査を受けることが必要です。経営基盤強化計画の承認を受けて、本制度を利用する予定の方は、事前に金融機関又は各地の信用保証協会にご相談下さい。なお、他の支援策による別枠を既に利用されている方は、利用可能な枠が制限される場合がありますので、特に注意が必要となります。 |
問い合わせ先 |
(社)全国信用保証協会連合会
電話03-3271-7201(代表)
各都道府県等の信用保証協会 |