造船業界は、国際マーケットの中にあったために、参入バリヤとしての資格制度が意味を持たず、建設土木業界等に比べて、業界共通資格の少ない業界であった。

　労働契約環境の変化の中で、技能の維持、継承、向上による、国際競争力の維持を狙って、造船技能の魅力を示し、技能面の人材を確保し、彼らを効率的に育成し、高能力者を適正に処遇することの必要性を述べ、そのために新しく提案した職種区分ごとに、客観的指標としての作業の要件を整理するとともに、これを活用する各種施策を提案してきた。

　しかし、初めての試みであり、また長期的側面もあって、すべてを網羅した結果が得られたとはいいがたいが、関係者の努力により、添付資料の内容を含め、中身の濃い結果が得られたと思う。　

　造船業は、貿易立国を支える、もっとも効率的な輸送手段である海運に、ハードを提供する製造業として、経済性と技術技能さえ確保できれば永遠に消滅することはない。本報告書が、世界に伍してゆける競争力確保の一助になれば幸いである。

　この報告書をさらにブラッシュアップし、業界全体の財産となるように纏めていくことにより、有用な資料として、多面的に活用されることを願うものである。

　また、本報告書で提案した諸制度については、さらに議論を深めていただき、具体化、実用化へと進むことを期待するものである。

　本年度は船殻関係を中心にまとめたが、来年度は艤装関係について纏め、さらに、本報告書に対する皆様からご意見をもとに、船殻関係の見直しをおこない、また、提案した施策については、技能水準資格認定制度を中心に議論を深めた上で、報告書全体として纒めなおす予定である。

　今後ともご協力、ご指導、ご鞭撻をお願いしたい。