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小説・ノンフィクション部門選評

 

北方謙三委員

大賞となった『寛政猿兵衛師』は、発想が卓抜で、臨場感もよく伝わってきた。視点のブレがなく、外国人船長の視点に定めたのも、当時の日本を客観的に描く効果があったと思う。官僚の無能さ、民間の心意気も描かれていて、痛快な作品になっている。

佳作では、漁業と食文化を一体化させた『海流のボニート』が印象的であった。視点の絞りこみが、説得力のあるノンフィクションに仕上げたのだと思った。残る佳作二作も、興味深い題材を扱っていて、いいところを狙ってはいるが、もうひとつ突っこみが足りない印象が残るのが残念であった。

 

谷恒生委員

毎回のことながら、今回も海洋文学大賞の銓衡は難航した。辛辣なようだが、大賞にふさわしい作品がないのである。

海洋文学大賞を銘打つからには、小説にせよ、ノンフィクションにせよ、海の臨場感みなぎる作品であってほしい。

 

 

 

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