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「あんたは実にラッキーな男だ。作業開始から今日までずっと快晴じゃあないか。これは日頃の祈りが神に通じたんだな」

「そうかもしれませんな。しかし、あなたから聞いた話はとても参考になりましたよ」

キウエモンは照れくさそうに言った。

「で、見込みはどうだね?」

「明日の満潮が最初の勝負です」

「……?」

「明日からは人数を増やします。まあ、細工は流々仕上げは見てのお楽しみですよ」

その顔には迷いも焦りもない。

「頼んだぜ、大将」

このときほど、このずんぐりした日本人が頼もしく見えたことはなかった。

 

 

二月一日。作業を始めて十四日目だった。昨日、雨をともなった北の風に襲われて延期した引き揚げ作業が再開される。

俺は「満潮」と言ったキウエモンの言葉の意味にようやく気づいた。潮の干満は一日ほぼ二回発生する。場所によって、その干満の差に違いはあるが、ここ九州の西海岸は日本でも最も干満の差が大きいところらしい。

 

 

 

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