キウエモンは次から次へ資材を投入した。
その主だった物というと滑車が大小九百個、四斗樽と呼ばれる樽が二百五十個、小石を詰めた俵が二千俵、ロープと木材に至っては長短太細数百本以上もあって数え切れない。
今日はどんな仕掛けをやるのか考えると、俺は毎朝現場へ行くのが楽しみになってきた。
四日目から作業人夫の数が三分の一に減った。それでも毎日二百人以上の人間が交替で働き続けている。西漁丸の帆柱から帆が外されて、代わりに巨大な三角形を成す材木で作ったクレーンが出現した。同時にイライザ号の両側に沿って、船の全長と同じ長さの筏が浮かべられた。筏の上には松明を逆に立てたような柱が載せられる。その柱は片舷に十三本ずつ並んだ。筏には二千俵の土俵が載せられ、屹立した柱と共にヘドロの海に沈められた。軟弱な海底にも拘わらず、これで二十六本の基礎柱が沈没船の周囲に完成した。
こうして十日も経つと、イライザ号は無数の木材と足場に覆われ、まるで巨大な鳥籠に入ったようになった。
俺は西漁丸にキウエモンを訪ねた。
彼は仲間に作業の指示をしていたが、俺を見るとにっこり笑って一礼した。
「もうしばらくの辛抱ですよ」
近くにいた通訳が彼の言葉を伝える。