このうち、プレジャーボートは全体の四〇%を占める七五九隻で、死亡、行方不明者は一五人であった。
(五管区管内は、五〇%を越えている)
機関故障
機関故障は年々増加しており、この増加が、モーターボートの海難事故の増加の原因ともなっている。
代表的な機関故障の事故概要は、
●燃料系統
燃料タンクのバルブを閉めないまま航走し、海水雨水が混入したもの。
●起動系統
セルモーターの接触不良等によるもの。
●冷却水系統
冷却水バルブを止めたまま航走したため、冷却水がエンジン内を循環せずオーバーヒートしたもの。
●軸系統
軸系の潤滑油が減少、また油圧が低下しているにもかかわらず、確認を怠り出航して、航行中に軸の焼付けを起こしたもの。
過去5年間、いずれも前記4つの系統による故障が全機関故障の七五%〜八○%を占めている。
乗上げ
乗上げ事故も、機関故障と同様、過去5年間漸増傾向にある。事例として、
●船位不確認
航行し慣れたコースだからと船位を確認せず漫然と航行していたため、満潮により冠水し乗上げたもの。
●水路調査不十分
初めての海域を航行するに際し、事前の水路調査を行わないまま岸に沿って航行中海図にない浅瀬に乗上げたもの。
●見張り不十分
航行中、釣り道具の準備をするため、一時見張りを放棄したため、海面上に露出していたテトラポットに乗上げたもの。
フィッシングを目的とした航海中の事故が、全体の3分の2を占めている。
土曜、日曜日及び祝日に乗上げ事故全体の3分の2が集中。
衝突
衝突の原因は、見張り不十分、操船不適切、避難時期不適の順となっており、圧倒的に見張り不十分が多い。事例でみると、
●モーターボートで釣りを楽しんでいたところ夢中になり、近くの海域にいた船舶と衝突したもの。
過去5年間の衝突事故については、次のような特徴が見られた。
毎年の事故発生海域は、距岸3海里未満のものが、全体の90%を占めている。
フィッシングを目的とした航海中の事故が、全体の約4分の3を占めている。
土曜、日曜日及び祝日に乗揚げ事故と同様、全体の3分の2が集中している。
燃料及びバッテリー容量不足
その事例を挙げると、
●出航時、燃料残存量の確認を怠った。
●フィッシングのため、長時間機関停止していたので、バッテリーの過放電で航行不能となったもの。
事故の分析結果
(アンケートによる)
●救命胴衣をあまり着用していなかった。
●船内に海図等を備えていない人たちが多数いた。
●浅瀬や漁具の設置状況、気象、海象に関する情報を十分把握していなかった。
●それまでに、少なからぬ人が乗上げや海中転落の危険に陥りかけた経験を有していた。