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介護をしていると「自分の知らない自分」と出会います。自分のマイナス面や、自分のなかの暗い面が出てきます。おむつを替えるときも「汚い」「臭い」と思ってしまい、そんなことを思う私は失礼な人間だと悩むのです。

私は、義母を通じて、自分の老後をリアルに考えるようになりました。こんなになっても生きていなくてはいけないのかとか、そういった老いへの怖さや怒り、とまどいが、またストレスにつながることもあったかもしれません。

だからこそ、話をただ聴いてくれる人、受けとめてくれる人が必要です。批判したり、たしなめたりしないで、私のドロドロした部分を、ただ聴いてほしい。本音を言いたい一方で、姑の悪口を並べたてているという罪悪感を感じています。そして、話しているうちに自分の心の立て直しを探っているのです。そんな私を丸ごと受けとめて、聴き流してくれる人の存在は何よりもありがたい存在です。

 

II. 障害のある子どもを特別なシステムによってではなく

障害のある娘をもつ女性

 

親が力をぬくことも大切

現在中学1年生の長女が、遺伝性の病気で生まれました。病名が長い間わからず、いろいろな病院を探して情報を発信しつづけました。偶然早い段階で、似た病状の人と出会い、診てもらえる病院が見つかり、良い医者にもめぐりあえました。その医者が、病気のことをきちんと説明したうえで「医者としても限界はあるが、とにかくいっしょにがんばっていきましょう」と言ってくれたことが何よりの救いでした。何かをしてもらいたいということではないのですが、ただ病気だけを診るのではなく、言葉や声かけが大事なのではないでしょうか。

障害があるとわかって、最初に辛い時期を乗りこえるとき、もちろん乗りこえるのは自分自身です。しかし、それを後押しするのは、医者や同じ境遇にある経験者だと思います。

 

 

 

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