日本財団 図書館


II. 主要な研究調査成果と自己評価

 

1. メタデータベースの構築

 

メタデータは、データーベースに関するデータを指し、属性データとも呼ばれる。世界的な動きとしては、データの所在情報、すなわちインベントリー情報の収集管理を目指す動きが中心であるが、MIRCでは一般のデータセットに対してクルーズ毎、プロジェクト毎にメタデータを付加する方式を開発し、メタデータセットの作成に勤めている。しかし、メタデータに入れる項目を多くするとメタデータ情報の収集が難しくなり、項目を少なくすると利用価値が減少することになり、未解決の問題が残されている。また、中間的な段階のメタデータベースでは、どれだけのユーザーが現れるかに問題がある。MIRCでは、品質管理情報をメタデータに付加していくことを考えており、現時点ではMIRC自身が最大のユーザとなることを考えている。また、本当にメタデータが必要とされるのは、測定や分析方法等の条件等付帯情報が不可欠である化学・生物データである。MIRCでは東北区水産研究所のプロジェクトによる動物プランクトン・データセットのCD-ROM化を図り、それに必要なメタデータを付ける試みを行ったが、化学データについてのメタデータ付加の検討も行ってきた。この努力は国立環境研を中心とする海洋中の二酸化炭素の研究グループから高く評価されており、関連データの整理・データベース化に共同してあたる体制が構築されつつある。地味な仕事であるが、かなりの成果を上げつつあると考えている。

 

2. 海洋物理学データ

 

品質管理ソフトウェア

ここでの最大の成果は、都道府県水産試験研究機関等の現場で容易に適用可能な水温・塩分等の品質管理ソフトウェアの開発である。目的はJODCに集められた後でのデータ管理ではなく、JODC/MIRCに流れ込んでくるデータの質を格段に改善するところにある。ソフトウェアには、現場機関で実行されるデータ解析を助ける種々の機能が備えられており、現場作業を通して自動的に品質管理ができるように工夫されている。また、使用に際して高い技術を必要としないことが、このソフトウェアの特徴である。

このソフトウェアを水産庁の協力の下でJODCに未収録の都道府県水産試験研究機関データに適用し、得られた品質チェック済のデータをJODCのデータセットに付加する作業を行ったが、これによってJODC保有の各層系データ数をほぼ倍増することが出来た。このことはMIRCの業績として大きく誇り得るものと考えている。また、このソフトウェアを用いて、JODC既存のデータの品質チェックを行い、その質を向上させることが出来た。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION