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6. 海外調査ニュース

 

●情報収集事業

調査団名 アジア・大洋州H班

調査分野 海上保安

対象国 スリランカ

調査期間(日数) 13.2.5〜2.10(6)

参加会員名 (財)海外造船協力センター

 

スリランカ海上災害防止

スリランカの主要港であるコロンボ港はコンテナポートとしての整備が進んでおり、その地理的な好位置から近い将来東西海上交通のハブ港として期待されている。またゴール港はコロンボ港の渋滞を緩和する付加港としての開発が計画されている。

この様に海上交通量が増加するなか、最近では船舶からの流出油等による海上汚染が深刻な問題となってきており、上述の“ハブ港化”を考えると早急な海上災害防止能力の確立と有効な設備・資機材の充実が望まれる。

本調査ではスリランカ国における、海上災害防止体制並びに設備の現状について調査し、同国海上災害防止分野での協力の可能性について調査したものである。

スリランカ政府は、同国唯一の原油輸入港であるコロンボ港の機能維持、観光資源として有力な珊瑚礁やビーチの汚染防止、海洋環境保護の重要性等から、1981年に海洋汚染防止法を施行した。また、同法に基づき、港湾・南部開発省に海洋汚染防止局(Marine Pollution Prevention Authority, MPPA)を設置し、国家的緊急時計画を作成するなど、万一の流出油事故に備えて努力をしている。

しかし、MPPAが保有する流出油防除資機材はゼロに等しく、また流出油防除の専門家はおろか、流出油防除及び海上火災に対応する知識と技能を有した者の育成状況は皆無に等しい状況であり、基本的な防除活動すらおぼつかない状況にあり、資機材の充実と防災要員の人材育成が急務である。

現在、スリランカ政府が保有している海上災害防止資機材は、スリランカ港湾局指揮下の事故対策チームがコロンボ港に保有している以下の資機材のみである。

・オイルフェンス 合計700m

・油回収装置 ディスク式小型回収装置 2式

・油処理剤 5,000リットル

・船艇 消防艇(180GT、1982年建造) 1隻

・海岸清掃機器 高圧洗浄機 1式

・その他 バキューム車、トラクターなど

他に、セイロン石油公社が下記の資機材を保有している。

・オイルフェンス 合計400m

・油回収装置 ディスク式小型回収装置 1式

・油処理剤 4,000リットル

しかし、これらの資機材の大部分は老朽化しており、また、流出油を回収出来る装置を装備した船舶も保有していない。さらに、コロンボ港以外の港湾には資機材は全く配備されていない。

かかる事情に対処するため、MPPAは無償資金協力によるコロンボ港内の油流出事故に迅速かつ効果的に対応出来る防災船の建造と流出油防除資機材の充実と共に、専門家派遣等の技術協力による海上災害防止センターとしての運営能力、防災要員の人材育成を強く希望している。

本件は、緊急時の海上汚染対策とコロンボ港をハブとした周辺地域の海洋環境保護の観点から重要度は極めて高いことから、早急な実想が望まれる。

 

 

 

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