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ヘン・サムリン時代(1979〜1992)

ポルポト時代に粛清を逃れた数百人の元カンボジア国共産党中堅幹部からなるカンプチア民族救国統一戦線が、ヴィエトナム軍の支援を受け、ポルポト体制打破。この後ヴィエトナム軍は約10年間駐留する。王党派、ポルポト派、ソン・サン派(ロン・ノルの系統)は、敵のまた敵は味方として「民主カンプチア」三派連合を形成し、国連議席はこの亡命政権に与えられた。ゲリラとなったポルポト派はタイ国境に多数の住民を連行し、カンボジア難民となった。東西対立の枠組みのさらに内側で中ソ対立があり、中国に後押しされたポルポト派、ソ連に後押しされていたヴィエトナムを含め、いわゆる三局対立となり事態はさらに混迷化した。

 

2. カンボジアの国土、国勢、運輸

・全国土面積:180,035km2、東西575km、南北446km、海岸線延長:435km

・メコン川の動水勾配:

プノンペンは河口まで332km、雨季で最大MSL+11m(乾季でMSL+2m)から算出すると、約1/30,000(同1/166,000)

・トンレサップ湖:雨季面積 約10,000km2、乾季面積 約2,600km2

・総人口:11.4百万人(女性の構成率51.8%)

・人口密度:全国平均64人/km2、プノンペン3,448人/km2

・女性が世帯主である世帯比率:25.7%

・人口の年齢構成:15歳未満 42.8%、15〜65歳未満 53.7%、65歳以上 3.5%

・識字率(7歳以上):平均62.8%(男性71.0%、女性55.4%)

・公共水道等安全な水にアクセスできる世帯比率:29.0%

・電灯普及世帯比率:15.1%

・煮炊きに薪を利用している世帯比率:90.0%

・敷地内にトイレ施設を有する世帯比率:14.5%

・宗教:95%が仏教徒(小乗仏教)

 

道路

総延長約34,000kmの道路ネットワークでうち約2,000kmが1〜7号線の一桁国道

首都のプノンペン市内でも幹線道路は舗装されているが逸れる枝道は泥道である。

殆どの道路は浸透マカダム工法でホットミックスは4号線、6号線、7号線の一部、プノンペン市内である。

ホットミックスを使ったところは無償で、その他はADBのソフトローンを利用している。

・国道

1号線 プノンペン-ヴィエトナム国境

ヴィエトナムと結ぶ国際重要幹線、1〜2車線の舗装道路。ADBによりプノンペン-メコンフェリー間は復旧された。

2号線 プノンペン-ヴィエトナム国境

部分的に舗装された1〜2車線道路。ADBによりプノンペン-タケオ間は復旧

3号線 プノンペン-国道4号

部分的に舗装された1車線道路

4号線 プノンペン-シハヌークビル

首都と海港を直結する重要幹線。2車線の舗装道路。線形、舗装とも良好。アメリカの援助で復旧された。

5号線 プノンペン-タイ国境

タイとの物流を担う国際重要幹線。1〜2車線の舗装道路

6号線 プノンペン-シソフォン

首都とアンコールワットを結ぶ重要幹線。1〜2車線の舗装道路。うちプノンペン-スクーン-シェムリアップ郊外は日本の無償ADB、世銀の援助で復旧

7号線 スクーン-ラオス国境

特にコンポンチャムまでは重要幹線、スクーン-コンポンチャム間は2車線の舗装道路で良好。日本の援助で復旧された。コンポンチャム以遠は状態は悪い。

 

港湾

プノンペン港

首都前面に位置し、メコン河口から320km上流にある河川港。日本の援助により修復された延長300mの桟橋および世銀の援助によるポンツーン2基が主要な施設である。プノンペン港では1997年に70万t弱の貨物を扱っている。輸入は石油類、セメント、輸出は木材、ゴムが多い。河川港のため季節による水位差が大きく10mに達する。雨季は5,000t、乾季でも2,000tの貨物船がメコン川を遡り入港可、また、雨季明けには定期的に維持浚渫を行っている。

 

 

 

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