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2. チュニジア共和国政府向け円借款契約の調印について

〜首都圏の渋滞緩和と大気汚染改善に貢献〜

 

国際協力銀行(JBIC)は、チュニジア共和国における「首都圏通勤線電化事業」に対し、総額131億7,100万円を限度とする貸付けを行うことを決定し、2月7日、借款契約に調印した。

この結果、国際協力銀行のチュニジア共和国に対する円借款貸付承諾額累計は24件、1,534億6,100万円となった。

チュニジア共和国は北アフリカに位置するイスラム教国であり、1956年にフランスより独立し、共和制に移行した。1987年以降(1999年10月再選)ベン・アリ大統領が政権に就いており、同国の民主化並びに市場経済化に取組んでいる。

経済面では、湾岸戦争により外国からの投資、輸出、観光収入が一時期落ち込んだが、近年は好調な投資と繊維産業を中心とする好調な輸出に支えられ、順調な経済成長を遂げている。また現在は、第9次経済社会開発計画(97〜2001年)を実施中であり、2010年を目途としたEUとの自由貿易構想の枠組において、欧州との重要な貿易拠点となることが期待されている。同国政府は引き続き市場経済体制の推進と経済の自由化に取組んでおり、かかる状況下、投資環境のさらなる向上、技術移転の促進、またインフラ設備の近代化など国内産業の競争力強化が今後の課題となっている。

 

「首都圏通勤線電化事業」

(1) 事業の背景と必要性

チュニジアでは、第9次国家開発計画(1997年〜2001年)の一環として運輸セクター開発計画を実施しており、その中で急速な都市化及び人口増加に伴う都市交通渋滞の緩和は投資の重点分野の一つとなっている。とりわけ、人口約200万人(99年)を有し、同国の経済・社会・行政の中心である同国のチュニス首都圏では近年、人口増加等に伴う首都圏の拡大によりラッシュ時の交通渋滞とそれによる環境悪化が深刻な問題となっており、早急な対策が必要である。

 

(2) 事業の目的及び概要

本事業は、増え続ける沿線の交通需要(現在沿線人口21万人、2006年には30万人に達する見込み)に対応すべく、チュニス首都圏南部の通勤線(チュニス〜ボルジュ・セドリア)23kmの電化やボルジュ・セドリア車輌基地の拡張・電化並びに電車車輌の調達等を行うものである。これにより、首都圏通勤線の輸送能力向上が図られ、道路交通からのシフトによる渋滞緩和に貢献すると共に、大気汚染緩和など周辺地域の環境改善に資することが期待される。

 

借款金額及び条件

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* 特別環境案件金利

 

3. サモアの「第二次アピア港拡張計画(詳細設計)」に対する無償資金協力について

 

我が国政府は、サモア独立国政府に対し、「第二次アピア港拡張計画(詳細設計)(The project for the Second Development of Apia Port)」の実施に資することを目的として、4,900万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が2月7日(水)行われた。

サモアは南太平洋の中央部に位置する典型的な島嶼国であり、国民生活および経済活動は海上輸送に大きく依存している。サモアの首都アピアに位置するアピア港は、日本、豪州、欧州諸国等との間に10の国際的航路を有し、外国貿易のほぼすべてを取り扱う同国唯一の国際貿易港と位置づけられており、生活物資の大部分を輸入品に依存する同国にとって生命線とも言うべき港である。

 

 

 

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