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<トピックス>

 

1. モロッコ王国政府向け円借款契約の調印について

〜モロッコの鉄道を支援〜

 

国際協力銀行(JBIC)は、モロッコ王国政府の国有鉄道が実施する「メクネス〜フェズ間鉄道複線化事業」及び国営水道公社が実施する「アガディール上水道整備事業」に対し、総額113億5,900万円を限度とする貸付けを行うことを決定し、2月6日、借款契約に調印した。

この結果、国際協力銀行のモロッコ王国に対する貸付承諾累計は18件、1,308億300万円となった。

モロッコ王国は北アフリカに位置し、国王を元首とする立憲君主国である。1999年7月に在位38年を数えたハッサン2世が逝去し、王位を継承したモハメッド6世が基本的に前国王の政策を継続している。また、政権発足から2年が経過したユスフィ現政権は社会政策に重きを置きつつ、穏健な政治・経済政策を採っており、政局は引き続き安定している。

同国は80年代前半に経済危機に見舞われたが、その後の構造調整努力の結果、90年代以降、基本的にはマクロ経済の安定化を達成している。しかしながら、主要産業の一つである農業生産が降雨量に左右されやすいなど、依然として干ばつ等自然環境の変化に影響を受けやすい経済構造を有している。また、GDPの20%弱を占める製造業分野でも、繊維・皮革等の軽工業、燐酸・燐肥料等の燐関連品目に依存していることから、産業の多角化を進める必要がある。さらに、モロッコは2010年頃までにEUとの自由貿易圏の樹立を目指しており、同国経済の競争力強化が今後の課題となっている。

今般の対象案件のうち運輸関連案件の概要は以下のとおりである。

 

「メクネス〜フェズ間鉄道複線化事業」

(1) 事業の背景と必要性

モロッコにおける鉄道事業の運営は国有鉄道により実施されており、現在1907kmにおよぶ鉄道網が整備されているが、道路輸送に対する競争力強化の観点から、現在鉄道セクターの改革と新規投資の選択的実施が進められている。特に、首都カサブランカからラバト〜メクネス〜フェズまでの地域は同国の経済発展の軸であり、1975年以降この約320kmを結ぶ鉄道路線はその輸送力増強を目的に、順次複線化が行われている。現在はこの複線化事業のうち最終区間であるメクネス〜フェズ間(57km)を残すのみとなっているが、現在同区間は単線としては既に飽和状態にあり、この複線化がモロッコの「5ヵ年開発計画(2000年〜2004年)」において鉄道セクターの主要事業に位置付けられている。

 

(2) 事業の目的及び概要

本事業は、メクネス〜フェズ間を複線化し、線形改良を行うことでの輸送力増強、カーブ減少による電車の速度向上、所要時間短縮及び踏み切り廃止による安全性確保、定時性改善に寄与することを目的としており、これによりカサブランカ〜フェズ間の複線化事業が完成し、同沿線地域の経済発展に貢献することが期待される。なお、本事業はヨーロッパ投資銀行(EIB)及び仏政府との協調融資案件である。

 

借款金額及び条件

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