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モーリシャスの青い海と白い雲と…

桂忠彦*

 

まえがき

南インド洋の孤島、“モーリシャス”に水路部設立行政アドバイザーというものものしい肩書きを背負ってやってきて1年過ぎた。経ってしまえば1年はアッという間のこと。残りもあと半分となった。

モーリシャスと聞いても知らない人も多いと思う。私も始め聞いたときは何も知らなかった。慌てて世界地図を広げ、南半球はインド洋を見てアフリカ大陸東岸近くのマダガスカル島を確認し、そこから遥か東沖合いのごま粒のような島、そしてその国名、モーリシャス、という字を見つけて、ようやくモーリシャスという国がある事を認識した。しかしここは旅行業界の人や一部の海運、漁業関係者などには良く知られているようだ。

知らなかったのは単に私が南半球のことに無知で、またそれが平均的日本人ではないかと、今でも勝手に思っている。この国に来て、住んでみて、第一印象と1年後の感想は変わったこともあれば、変わらないものもある。しかし興味深い沢山のことを経験しつつある。そこでこの紙面を借りてモーリシャスという国の紹介を兼ねて、ここで経験したいくつかのカルチャーショックを独断、偏見をもとに紹介したいと思う。私は皆さんが私同様、モーリシャスなんて聞いたことも無いし、行った事も無いということを前提にしてお話を進めたい。そうでないと筆が進まないので。

 

モーリシャスの自然と人

この島国の暮らし振りや社会のありかたが日本と違う点は多い。まず国のサイズが比較にならぬくらい小さい。しかし群島国家である点は同じ。島々を合わせた国土総面積は2400平方キロメートル強とか。その中の主島がモーリシャス島である。面積1864.8平方キロメートル。日本でいえば山手線の内側の区域くらいか。大半の住民は浅黒から真っ黒なインド系またはクレオール系の人々である。白人、東洋人も居るがそう多くない。まあ雑多な人種の坩堝といえよう。昨年この狭い島内を揺るがす騒動があったため、いま政府は国内融和策を勧めている。そのためか現在は平穏な社会情勢で不安はない。

以下、私の住む一番大きなモーリシャス島での話をする。

ここは自然の海と海岸が素晴らしく美しい反面、住民の大部分が住む町中はけして椅麗ではなくゴミゴミとした感じを受ける。東南アジアの町に似ているという。海岸沿いのすばらしい景観と綺麗な花の咲き乱れるビーチリゾートホテルと対照的にこの汚さは第一印象として強烈であった。恐らく観光客としてこの国を訪れ、手入れの行き届いた絵のようなビーチにあるリゾートホテルに直行、滞在して、そのまま帰るのであれば、まるでパラダイスというキャッチフレーズは疑いなく受け入れられるであろう。

 

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モーリシャス南部海岸の砂浜で遊ぶ子供たち。海岸沿いは綺麗な海と相まって本当にすばらしい景観である。

 

* 在モーリシャスJICA専門家 モーリシャス住宅土地省気付 運輸省海上保安庁水路部付

 

 

 

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