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有効性と効率性が問われるODA

 

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(社)海外運輸協力協会

運営委員長 遠藤博之

 

新年あけましておめでとうございます。

昨年の暮れ政府は、財政首脳会議において予算編成討議を行い、財政の効率化を目指し景気に配慮する分野と景気刺激に直結しない分野とに分け、後者分野の予算を抑制する事を確認しています。ODAは、後者に含まれ円借款を中心に12年度予算比で削減されるとの報道がありました。

我が国が戦後の復興に努める中で、開発途上国への援助を開始してから46年が過ぎています。しかも1991年以降二国間援助では世界最大の援助国になっており、この間援助を積極的に進める事により、国際社会における我が国への信頼や評価を高め、世界の多くの人々との触れ合いを通じて豊かな国作りに貢献してきたと考えます。1998年度までは確かにODA資金が毎年延び続け、開発途上国の持続可能な社会経済の発展の寄与に結びついたと言えます。しかし、1998年度の予算で前年度比1割削減され、アジア経済危機の中での削減に世界の批判が高まり、その後、宮沢構想で援助を増やした経緯があります。この援助はアジア地区の経済混乱克服のために重点的に資金が、金融支援策として使用され、その結果、急速に経済の安定に繋がった事を忘れてはならないと思います。勿論、そのため二国間援助全体が高まったのは事実で、ちなみに、1999年度の実績は、大幅な円高とアジア通貨・経済危機対応により前年比ドルベースで144%と急増しました。

今、日本はODA政策として、1999-2003年度にわたる5ヶ年間の中期政策を実施中です。金額はコミットせず以下の様な政策をコミットしております。すなわち、これまでのインフラ整備優先をあらため、貧困削減対策や社会開発の側面さらに人材育成や制度・政策などソフト面での協力を重視していく転換方針を打ち出しています。しかし、多くの国からの要請に応える為には、急激な援助削減は、援助政策の達成に影響し、国際社会での日本の評価にも影響をきたします。したがって、財政的に厳しい中で、より効果的で、効率的な援助を推進する事が緊急の課題となっているわけです。

国際社会で我が国が持続的に効果的で、効率的な援助を維持する為には、従来以上に事業の事前・事後の評価をしっかり行い、国内外での広報活動を行い、そして途上国といっしょになって最良の方法を考えていく事が必要です。勿論、「貧困削減」などの中期政策を成功させるには、その国の「経済成長」がパッケージになってこそ達成されるものでしょう。そしてその国の将来への発展が「自助努力」によって達成されてこそ、最終的に援助の効果に繋がるものと思います。

ODA予算の頭打ち、質の転換等、新しい援助政策は、すでに旧世紀から動きを開始しています。今年も協会・会員の発展のため微力ながら尽くすつもりでおります。旧年に増してご協力の程お願いいたしますとともに、会員のみなさまのご多幸とより一層のご活躍を祈念いたします。

 

 

 

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