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<トピックス>

 

1. フィリピンに対する無償資金協力について

 

我が国政府はフィリピン共和国政府に対し「ニノイ・アキノ国際空港アプローチレーダー管制施設改善計画」他4件に対する無償資金協力の実施に資することを目的として、総額53億2,000万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が平成12年10月11日に行われた。

うち運輸関連案件の概要については以下のとおりである。

 

「ニノイ・アキノ国際空港アプローチレーダー管制施設改善計画」

(供与限度額18億9,300万円)

フィリピンは、多数の島々からなる島嶼国であり、航空輸送の担う役割は大きい。このため、我が国円借款により航空保安施設および主要空港の施設整備がこれまで行われてきている。

特にニノイ・アキノ(マニラ)空港はフィリピンにおける表玄関であると共に、首都マニラにおける唯一の空港となっており、年間1,300万人の乗降客が利用している。その重要性からこれまで我が国の円借款により各プロジェクトが実施された。しかしながら、円借款にて設置した現在のニノイ・アキノ空港監視レーダーシステムの機器の老朽化が著しく、既に多数の障害が発生している(1998年においては、システムの老朽化に起因し復旧までに数時間から数日間を要した障害が11回発生している)。また旧型スペアパーツの調達が困難であるため、長期間の運用停止を避けるために抜本的な対策が必要な状況である。このため、その改修を緊急に実施する必要性が高まっていることから、フィリピン政府はこれまで独自での更新の実施につき検討してきたが、予算確保がアジア経済危機のもとで困難な状況にある。

こうした状況のもと、フィリピン政府は「ニノイ・アキノ国際空港アプローチレーダー管制施設改善計画」を策定し、この計画のためのレーダー管制施設の改善に必要な資金につき、我が国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。

このレーダーシステムの改善により、航空機の離発着の安全性が確保される(年間航空機離発着数約19万回、年間空港利用者数約1,350万人)。また本レーダーシステムが長期間運用停止した場合、ニノイ・アキノ空港における航空機の管制処理能力が極端に減少することが想定されることから、フィリピン経済に与える悪影響を回避できる点でフィリピン全国民が裨益を受けると言える。

 

2. モンゴルに対する無償資金協力について

 

我が国政府はモンゴル国政府に対し「鉄道線路基盤改修計画」他2件に対する無償資金協力の実施に質することを目的として、総額19億7,300万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が平成12年11月9日に行われた。

うち運輸関連案件の概要については以下のとおりである。

 

「鉄道線路基盤改修計画」

(供与限度額5億3,000万円)

内陸国であるモンゴルでは、鉄道が長距離国内輸送および国際輸送について重要な役割を果たしている。特に南北を縦貫しロシアと中国を結ぶスフバートル〜ザミンウッドに至る幹線は、道路網整備が遅れていることもあり、モンゴルにおける基幹輸送機関としての役割を果たしている。

しかし、輸送事業を開始し50年を経過した現在、橋梁・盛土等の線路基盤施設は、本格的な修復工事がなされていないことに加え、厳寒な気象条件等の影響もあり、老朽化が著しく進行している。特に雪解け時期や雨季においては、自然河川の氾濫、線路横断排水路の容量不足による線路冠水、路盤の崩壊および落石等が恒常的に発生し、しばしば列車の運休を余儀なくされ、国民生活を支える物流の確保が困難となり、モンゴル経済に大きな影響を与えている。

このような状況のもと、モンゴル政府は、早急に鉄道線路基盤の改修を行うべく「鉄道線路基盤改修計画」を策定し、この計画のための改修工事に必要な資金につき我が国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。

この計画の実施により、モンゴル鉄道の北部区間の計20カ所において落石防護対策、河川護岸整備、鉄道横断排水溝増強、橋梁改修等の工事が実施され、安定的な物流の確保や鉄道沿線に居住する約100万人の安全かつ確実な輸送が確保される。

 

 

 

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