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クマール・ワヒ氏(P. K. Wahi)

インド鉄道省次官補

 

インド国の交通政策

約63,000キロの鉄道網を有するインドにおいては、旅客及び貨物輸送は堅調に増加しているが、需要増大に適切に対応するためには、鉄道インフラヘのさらなる投資が必要である。他国と比較しても旅客運賃が低く設定されていること等から、旅客輸送による赤字を貨物輸送の収益により穴埋めしている状況にある。

今後、輸送力増強、貨物ターミナル増強、車両の増強、通信の改善及びITの活用、長距離列車運行による旅客輸送力の増強に重点的に投資していく。

 

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陸叙生氏(Lu Xusheng)

中国鉄道部国際合作司交流合作処長

 

中国の交通政策

中国鉄道部が鉄道の高速化等に積極的に取り組んできた結果、財務状況が回復に向かい、1999年には黒字に転じることとなった。

具体的には、まず、1997年から高速化を推進し、サービス向上を実現した。また、市場の需要に適切に対応するための時刻表改訂を断行し、夜行列車の運行等の新たなサービスの提供を実現した。さらに、マーケティングを強化し、効果的な投資を行うとともに、軌道の性能向上及び運行情報管理の近代化等を推進した。

今後は、旅客輸送の高速化、サービスの向上に努めるとともに、貨物輸送のサービスの質の向上、定時制の確保、新価格体系の構築に努めていく。

 

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菅建彦氏(Tatsuhiko Suga)

東日本鉄道文化財団専務理事

 

日本の鉄道の顕著な特徴は、旅客輸送量が多いことと、高密度輸送及び効率的な経営により都市鉄道事業者が自立経営を行っていることである。

鉄道事業者は約200社あるが、それぞれが直通運転・相互乗り入れを行っており、多角的経営を積極的に進めている。

また、鉄道事業者は、沿線の宅地等の開発やターミナルでの百貨店等の経営等を積極的に行っており、周辺の生活にも大きな影響を与えている。

今後は、社会構造の変化等に適切に対応するとともに、他の公共交通機関との連携、社会的弱者への配慮等の課題に対応していく。

 

○アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)からのコメント

開発途上国に共通した特徴として、1]上下分離方式でのリストラクチャリング、2]低い運賃設定、があげられる。収益性を高める方策としては、運賃値上げまたは収益性の高い分野への投資しかない。

インドにおいては、港湾での貨物取扱量が増加しているなど、貨物輸送における競争力はあるが、旅客輸送については、改善の余地があると考えている。広大な国土を有する同国においては、長距離輸送において航空輸送と厳しい競合状態となる旅客輸送より、貨物輸送に重点を置いた投資を行うのが効果的だと思料する。

 

○運輸省からのコメント

中国においては、高速化、ニーズに対応したサービスの向上等に積極的に取り組んでおり、成果をあげているところであるが、我が国としては、都市鉄道の整備や北京-上海高速鉄道等に対して技術協力等ができると考えている。

 

 

 

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