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完成しつつある駅構造物

 

4] 契約4:軌道敷設請負契約(請負者CKSL:チョウカンチャン(タイ)、SNC-ラバリン(カナダ))、進捗率:7%

5] 契約5:エスカレータ&エレベータ設置請負契約(請負者MMW:三菱商事、三菱電機、オラチャック(タイ))、進捗率:15%

その他に、前述のとおりBOT方式の契約6]としてコンセッション契約があり、MRTAはコンセッションネアであるBMCL(Bangkok Metro Co. LTD.)と本年8月1日に契約締結し、BMCLは運営に係る車両、電気通信設備等の調達をNESCO(Nippon-Euro Subway Consortium:三菱商事、三菱電機、アルストムで構成)に9月1日に決定したところである。

 

4. 本事業の行方と問題点

本事業は着々とインフラ整備の工事が進捗している中で、運営に係る電気、信号、通信、車両等の整備が予定より遅延しており、開業予定時期に影響が出始めている。何故これら運営に係る整備が遅れているのかは、タイ政府内閣によるコンセッション契約承認が大幅に遅延した為である。

そもそも日本の地下鉄整備事業と比較し、不合理であることは、将来の運行やメンテナンス等に関する具体的な計画が不充分なまま、インフラ部分の建設工事の設計や施工が進められていることである。要するに、上下分離方式とした結果、運営に携わる会社が事業全体計画に係ること無しに、一連の契約の最後に決定されることに問題の根元がある。

また、開発途上国ではその資金調達の理由により安易に民間活力導入のBOT方式が採用されているが、特に鉄道整備事業は、日本或いは世界的にも大幅な収益が期待出来る事業ではない。こうしたインフラ整備は、公共性の高い事業であるので、輸送サービスを通じた社会貢献の観点で事業を捉えるべきと考える。本事業も運営会社は、既に運賃設定並びに25年間の運営によるタイ政府への上納金額も定められた中で、旅客需要が低迷した場合の収支リスクは全て民間の運営会社が負うスキームであり、今のところタイ政府は、一切の運営に係る赤字補填への補助金交付等の支援は視野に入れていない。

このように、バンコク地下鉄事業も今後民間運営会社が絡んだ難局を迎えていくものと思われるが、バンコクの深刻な交通問題の解決に向けて、一刻も早い地下鉄の開通を期待されているところである。

 

 

 

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