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CAAでは、実施方針として現段階で導入可能で、経済的に優位な手段を採用するとしており、特に低公害車導入に関する制度、関連する記述は見あたらない。

 

5.10 交通取り締り

(1) 関連する行政組織

LTOとMMDA、PNP(Philippines National Police;警察)が交通取り締りに関連する組織である。特にLTOは、公共交通の事業者がフランチャイズ条件に適合した営業をしているか監視する役割を持つ。一方、MMDAは一般車両を対象としてTDM(ナンバー・プレート規制など)実施時の取締を行う。PNPは一般的な交通法規の取締を行う。

 

(2) バス優先方策の実施計画と調整

DOTCが2001年から3年計画でEDSAにバス専用逆走レーンの導入を計画している。しかし、導入決定は2001年の大統領選挙後とされており、不確実である。

 

5.11 問題点のまとめ

複雑な発展経緯

メトロマニラの公共交通の歴史は古く、複雑な発展経緯、多様なモードの導入を経ながら現在の市場が形成された。現状を理解するためには、その複雑な発展経緯を理解する必要がある。例えば、1975年に組織され1985年に解体された公営バス事業体であるMMTCは、その解体時、労働問題の縺れが原因のひとつであったため、労働者主体の解体が実施された。現存する民間バス会社はこの時点で労働者を中心として組織されたものが多く、労働環境・社風を非常に重視する傾向にある。バス事業者に小規模事業者が多く、合併が進まない状況はこれによる所が大きい。

 

行政側の不法事業者への対応

EDSA通りのバス供給計画は1980年代初めにまとめられたJUMSATにより定められたものである。これによると、2000年の目標年次にMRTを運用した状況下で3,200台のバス供給が必要である計画された。ここから考えて、JUMSATが策定されてから現在までの過渡期に、MRTの供給ギャップを埋める必要があったと考えられるが、この間行政は3,200台分の営業権しか発行しなかった。この間、営業権を持たない不法事業者は増大し、MRT開通前までにはEDSA通りでの不法車両は3000台に達しているという調査結果も出された。

行政側はこの状況に対応せず、時限的な営業権の発行や取締の強化などの対策を講じなかった。これは結果的に、一部の供給ギャップを埋めるための不法事業者を黙認したこととなった。

 

 

 

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