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MRT3号線:料金設定の影響

EDSAでエアコンバスを運行する事業者は、客数が減り採算性が保てなくなったため激減している。この理由として、不法営業車両はエアコンバスが多い、という背景もあると考えられる。いずれにせよ、これはDOTCの目論見通りであり、DOTCの料金施策は一応成功した。

しかし、採算がとれなくなった事業者が不法営業車両であるとは限らない。経営が行き詰まった正規事業者の中には、フランチャイズを他社に売り渡したり、一部をリースしたりするケースもある。IMBOAでは、MRTの料金設定を不服とし、40〜45ペソに設定することをLTFRBに要求している。また、現地利用者によるとレギュラーバスの客数は逆に増えているという。これは貧困層へのモビリティ確保、価格弾力性に関する議論、という点で興味深い現象である。

 

5.6 インフラ整備計画

(1) 交通インフラ整備に関わる行政機関

DOTC、及び、DPWH(Department of Public Works and Highway)が関係している。

前者はバス交通計画からインフラ整備需要を算定する。後者は、道路整備の実施機関である。

 

(2) バス優先レーンなどの導入計画、導入可能性

DOTCでは、2001年から3年計画で公共交通促進策の実施を検討している。特に、EDSAでは、バスの逆走レーンの導入を最終案とした優先策を導入する計画がある。

 

(3) バスターミナル整備計画

バスターミナルは事業者側で整備するものであり、公共による整備計画はない。例外として、都市間バス(長距離バス)のターミナルは行政により整備された。

 

(4) バス停施設の整備(標示板、シェルターなど)

バス停は道路の一部として位置づけられているため、DPWHが整備を担当する。

 

5.7 車両管理

(1) 車両支援のための窓口となる行政機関

バス事業者が車両を所有しているため、車両援助の行政機関は存在しない。

現状、多くのバス事業者が中古車両の買い付けのため頻繁に訪日している。しかし、日本からの輸出中古車両はAQA基準に適合しない可能性があるため、事業者は追加投資の必要がある。

部品、工具の支援は、直接事業者に支援するか、もしくは、ソフト的な施策導入(購入資金の提供、関税引き下げ、共同購入など)の提案が考えられる。

 

 

 

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