5.5 バス事業計画
(1) 担当行政機関
事業計画はDOTCのRoad Transport Planning Unit(以下、Planning Unit)が担当している。
(2) 計画策定の法的背景
MOTC(DOTCの前身)に関する大統領令(546号、1979年7月23日);
DOTCは安全で効率的な通信、交通網の整備政策、計画、実施、規制に関する政府の実施機関である。
(3) 都市交通の将来計画交通量の見通し、利用者数の見通し
バス供給の基本計画として位置づけられるのは、MMUTISでの報告結果である。但し、現時点では1985年のJUMSUT調査の一部、「BUS and PUJ route study、LRT line 1 and Tributary Area(バスとジープニーの路線計画、LRT1号線周辺地区)」が基本計画として位置づけられる。この計画の目標年度は2000年である。この基本計画においてEDSAのバス供給量(3200台)は、MRT3号線が供給されるという条件で設定されている。
供給ギャップと不法営業車両
MRT3号線開通以前のバス供給計画には大きな問題があり、MRTが整備されつつある未解決のままである。1985〜2000年の間、MRTが開通していないにも関わらず、EDSAでのバスフランチャイズは3200台分しか発行されていない。一方、EDSAでは約6000台のバスが営業しているといわれている。この背景には不法営業車両の存在がある。
DOTCは、取締機関のリソース不足により不法営業車両の取締は不可能である、という。一方で、MRT開通までの時限付きフランチャイズ発行などは、不法営業が増えるという理由で実施されていない。結果的に不法営業車両はMRTの供給差を埋めるものとしてDOTCは不法営業車両を暗に認めていたという見方もできる。
(4) 料金設定
料金設定はDOTC傘下のLTFRBが実施する。料金は全国統一料金であるため、物価の高いメトロマニラでは、相対的にバス料金は安い。
(5) 料金設定に関する基本的考え方
DOTCでは、エアコンバスによる輸送を縮小し、MRT3号線に転換させるように考えている。このため、MRT3号線の料金設定はエアコンバスに近いものとしている。また、レギュラーバスの料金は、低所得者層への配慮から規制されている。一方、エアコンバスの料金は規制されておらず、事業者の裁量に任されている。