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(2) 交通特性

マニラ首都圏の交通特性としてMMUTISレポート(近年実施されたJICA交通調査;下記参照)では以下のように紹介されている。

・居住者の79%が毎日トリップを行っている。

・一日一人あたり(4歳以上)の平均トリップ数は2.3である

・男性の平均トリップ数は2.6で、女性の2.0を上回る。

・自動車保有世帯の平均トリップ数は2.6で、保有していない世帯の2.2を上回る。

・高所得世帯(月20万ペソ以上)の平均トリップ数は3.1で、低所得者(月3000ペソ以下)の1.8よりも多い。

また、同地域の交通手段別交通需要に関して、トリップ総数(約1780万/日)のうち、70%が公共交通手段を利用し、8%が準公共交通手段、22%が私的交通手段を利用している。乗用車利用者数は18.5%である。アジア諸国と比較し公共交通手段の占める割合が非常に高い。

 

5.1.4 道路インフラ

公共投資額から見ると、街路整備に高い優先順位が与えられている。様々な調査がこれまで行われてきたが、多くの地域で既存道路網の維持補修を強化することは言うまでもなく、道路の相互連携や改善によりネットワーク容量を拡大し、立体交差や拡幅などによるボトルネックの解消を必要としている。

EDSAではMRT3号線の建設に平行して、交通管理と連携するインフラ整備が開始されている。以下にその例を示す。

バスレーン;バス停での滞留を解消するため提案されたBSS(5.3.1(3))の導入と平行して、バス停を通過するバスを優先する専用レーンが設置されている。

空港行き自家用車専用逆走レーン;EDSAとサウススーパーハイウェイ交差点から西行きへ1.5kmほどの区間に自家用車専用の逆走レーンが設置されている。

 

5.2 既存交通調査

歴史的にマニラ首都圏における交通整備は政府規制の下で進められてきたが、1950年代に入り、政府はその統制を失ってしまった。都市交通問題が顕著になるにつれ、一連の交通関連調査が行われ、交通計画が実行された。以下に主要なものを示す。

 

(1) JICA、マニラ首都圏総合都市交通改善計画(MMUTIS)、1996〜1999

長期的な視野に立った基幹的交通ネットワーク基本計画、整備投資計画を策定した。関係省庁からマニラ首都圏の交通マスタープランとして位置づけられている。包括的な交通データベースの作成も主要な業務であり、バス事業者へのインタビューを含む20項目にわたる広範囲な交通動態調査を実施した。

 

 

 

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