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5 メトロマニラ(EDSA沿線地域):都市内バス輸送の現状

 

5.1 メトロマニラの概況

5.1.1 対象地域概況

メトロマニラはフィリピンの首都であり、マニラ市、ケソン市などの7市10自治体から構成される。西にマニラ湾、東にラグナ湖に挟まれる形で南北に伸びており、南北約50km、東西約8〜20kmの比較的平坦な地形を呈している。同地域での面積636km2、人口は945万人(1996年)である。近年、メトロマニラの郊外への成長が進み、隣接する中部ルソンや南部ルソンに加えてバタンガス、カビテなどもを含む3,670km2が影響圏となっている。

メトロマニラの都市機能は、マニラ市を中心とした旧市街地と、EDSAと呼ばれる環状道路に沿った副都心(マカティ、オルティガス、ケソン、クバオなど)に立地しているが、これら副都心の業務機能は首都圏全体の53%を占めるとされ、成長が著しい地域である。

このEDSA沿線では、乗合バスが主要旅客輸送機関として営業していたが、バスの客待ち駐車により発生する慢性的な交通渋滞が問題となっていた。一方、EDSAの中央分離帯上にMRT3号線と呼ばれる軌道系交通施設が順次整備されており、2000年6月に全体の約2/3の区間が開通した。これを受けて、現在、EDSA沿線ではバス事業の大規模な改編が行われようとしている。

本調査では、このような状況下にあるEDSA沿線でのバス輸送、バス事業に注目し、調査を実施した。

 

5.1.2 社会・経済状況

メトロマニラは社会・経済面でも首位都市であり、国内総生産額の約30%を占め、一人当たりの生産額は全国平均の約2.5倍となっている。特に第3次産業の占める割合が高く、全生産額の75.5%を占める。

貧富の差が大きく、所得が貧困線以下の貧困層の割合は10%を越えるといわれており、また、メトロマニラの人口のうち、土地所有権・借家権を持たないスクォーターが約30%をしと呼ばれる居住環境が劣悪な地区に居住している。

 

5.1.3 都市交通概況

(1) モータリゼーション

自家用車、商用車ともに1980年から1995年まで毎年平均6%の割合で増加している。メトロマニラ内での自動車保有率は他のアジア諸都市と比較すると低い水準にある。メトロマニラではオートバイがあまり普及していないのが特徴である。

 

 

 

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