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具体的には、アジア太平洋地域にあって、設備の整った既存の訓練施設(マニラCATC等)を利用する、または新たに施設整備を図って第3国研修を実施する。

また、日本として、当該地域、例えば大陸東南アジア(インドシナ半島)地域に対して、日本の利益とともに関係各国の利益を考慮しながら、航空保安システムの将来像を示し、そのための援助方針を確立することが重要である。関係各国レベルで基礎的なニーズを処理することは、訓練の効率性、有効性にとって必要である。

従って、航空保安要員ニーズの統合化及び周辺国の業務実施能力均一化のため、関係国の訓練体制をまとめて、地域として訓練施設を整備するなどの援助は有効な方法と考えられる。周辺国を一括した訓練施設の拠点を整備、または訓練システムを確立することにより、効果的な援助が期待される。また、各国毎に、必要最低限の訓練施設が改善された場合でも、有る程度の人数の他国からの研修生を受け入れられる施設並びに訓練体制を整備するように支援することは妥当である。

この場合、既存のCATC(シンガポール、バンコク等)に付属して海外研修生専用施設を整備する、ベトナム等自国に要員養成需要のあるところに海外研修生用の施設を含めて整備する、または、自国の訓練生需要が小さくても多国の研修生用として施設を整備する方法が考えられ、関係国の事情及び合意形成を踏まえて、我が国として最適な援助方法を採用する必要がある。マレーシア、タイ、ベトナムなど自国に訓練機関のある国では、2国間協力により周辺国の訓練生を受け入れており、多種多様な訓練の提供、先進的な設備とは行かないまでも基礎的な訓練が提供されていることから、自国の要員養成と合わせて訓練需要を一定させるために、我が国無償資金協力実施及びプロジェクト方式技術協力実施中のマニラCATC整備と同様に、これら訓練施設の機能の補完または向上を我が国の資金協力または技術協力により支援を図ることは有効である。

なお、1980年頃からほぼ10年間、ICAO/UNDPによって、途上国の民間航空訓練センター(CATC)の改善整備が行われ、アジア各国でも、いくつかのCATC(バンコク、マニラ、チュルク/インドネシア等)では、その後自立して発展したが、ミャンマーCATC、ラオスCATCでは、ICAO/UNDPの支援が打ち切られた後、自立できずに施設設備が荒れるか、傷みにまかせる状態にある。国際機関が手を引いた後、援助の趣旨を引継いだ機能の回復または設備の改修など、各国個別の援助の重要性も認識する必要があり、援助の目的が明確になる。

 

4.6.3 事業具体化の方法

今後の援助の進め方としては、まず、関係各国の人材育成計画及び訓練施設改善計画に関して、統一的な評価基準によるコンセンサスを形成する必要がある。次に、地域としてのまとまりをもって対処するため、各国の役割分担を確立させ、各国で実施する施設整備及び訓練体制改善などの機能拡充の内容を整理する。これらは、関係者を集めたセミナー等の開催、または計画立案等航空行政・管理部門に対する長期専門家の派遣、並びに各業務実施の専門知識・技能に関する短期専門家の派遣を通して実施する。

また、我が国単独によるものに加え、フランス等他国、世界銀行、アジア開発銀行、国際機関等の他援助機関との連携により、基礎的、総合的な取り組みが重要である。

 

 

 

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