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また、カンボジア、ミャンマー等周辺国及び他の途上国からの航空保安職員の研修センターとしての機能を充実させ、必要な設備及び教官などの訓練体制の整備に対して資金援助(無償)または技術協力を行うことも考えられる。

 

4.6 我が国からの援助方針案(総括)

4.6.1 訓練体制の機能分担

各国とも、整った設備のある海外での訓練を第一と考え、それに対する制度的、財政的援助を望んでいるが、訓練の効果及び効率性を考慮した場合には、訓練要件に適切に対応した訓練制度を確立することが重要である。具体的には、基礎訓練機能は自国に持つが、高度な専門理論・技能の習得に関しては、海外の訓練機関または高等教育機関へ派遣するなどの訓練制度の機能分担が妥当である。

例えば、汎用性のある関連知識・技能、日常的な業務に必要な基礎知識・技能または初級段階の専門知識1・技能の習得、並びに語学研修または既職員に対する技能維持のための再研修などについては、訓練ニーズも定期的に見込まれることから、自国の研修施設で訓練が実施できるように施設機能を整備する。しかし、一部の基幹要員が習得し、指導的役割をもって対処すればよい先進的な専門知識・技能の習得、または人材育成の要員ニーズの小さいものは、研修プログラムまたはスカラーシップ制度を利用して人材育成を行うものである。

前者に対しては、訓練施設の改善、訓練機材の供与等の資金協力(主として無償援助)、訓練機能向上のためのプロジェクト技術協力または訓練制度の整備及び訓練指導等の専門家の派遣を行う。後者に対しては、我が国研修事業への招聘、人材育成プログラムにより海外にある先進の訓練機関(シンガポールSAA等)への派遣支援、若しくは第3国研修(マニラCATC等)の実施が考えられる。

また、各種ドナによる施設改善プロジェクトの場合には、機器更新に付随する技術移転または訓練用機器を使った訓練は、航空現場での必要最低限の訓練機能を提供するものであり、全ての訓練需要を満たすものではない。従って、他の訓練方法と組み合わせて効果的な専門知識・技能に対する訓練を実施することが重要であり、そのための適切な訓練計画の策定及び指導教官の育成を支援する専門家の派遣等の実施が求められる。

なお、機能分担を図れば国外での訓練が多くなるなど、訓練体制の改善には国内外の研修機関への派遣費及び支度費の捻出、訓練センター(CATC)の維持運営費、並びに要員を補充して職場から訓練に出やすくなるよう十分な人件費の確保等予算面、組織面の自立支援が重要である。航空特別会計の導入など航空保安業務全体に対する運営予算の制度を確立する必要がある。

 

4.6.2 地域支援

途上国においては、航空関連施設の改善・近代化は進められつつあるも、航空交通自体は発展途上であり、必ずしも関係業務を実施する要員養成のニーズは大きくない。ただし、航空輸送または保安システムを円滑かつ安全に推進するためには、周辺国を合わせて運用能力レベルを一定させる必要がある。また、航空保安業務に関しては、地域的な均一化が求められており、業務の実施内容・方法も共通していることから、航空保安施設システムの開発状況、業務の実施能力、航空交通の量、質及び形態、並びに要員養成のニーズが地域としてまとまりをもって改善させる方法が求められる。

 

 

 

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