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(2) 施設概況

建設後、年数は経っているものの、建物としては良好に維持されている。教室、訓練設備、実習設備、図書館、宿泊設備、海外からの研修生用の宿泊設備、並びに、レーダーなどの関連実習設備も設置されており、広い敷地を要した施設である。

 

(3) 訓練機材

訓練装置としては、飛行場管制卓と滑走路を模した飛行場管制実習装置があり、マニュアルで模擬航空機を動かすのに合わせ管制指示を通信する方法で基礎的な訓練を実施している。装置としては単純であるが、丁寧に使用されて、連動ランプ等の機能はきちんと維持されている。また、レーダー管制用のシミュレーター実習装置も設置され、10名程度の管制官の訓練が同時にできる規模がある。シミュレーター装置は、エアロタイが開発したものが使われている。

その他、各種航空無線設備、情報通信業務のためのコンピューター端末などの実習装置も設置されている。

 

4.5.5 将来計画

(1) 現状の問題点

卒業後の進路が厳しいことから、学生数が減少しており、より高度な専門性を習得させるための訓練施設となるよう機能向上を目指さなければならない。そのため、施設、訓練機材とも最新のものを導入していく必要があるが、資金的な面での制約が多い。

また、パイロット養成、航空機客室乗務員養成等の需要の多い部門に対して、航空訓練センターとしての機能を充実させるためには、練習機等のさらなる整備が必要とのことであった。

 

(2) 将来整備計画

現在の敷地に、さらに訓練棟を建設し、最新の訓練設備を設置する計画がある。それによって、エアロタイ、タイ航空並びに海外からの受託訓練を増やし、機能を拡充させたい意向である。

 

4.5.6 我が国ODAによる援助の可能性

(1) 援助の可能性

総合航空訓練学校として、将来的にも発展していく可能性が高いが、パイロットの養成等、必ずしも公共性の高い分野だけではない。従って、学校全体または個々の訓練装置・機材に対する援助は難しいと考えられるが、他の開発途上国からの訓練生のための機能充実、訓練体制の整備など運用面の支援が考えられる。また、今後、航空管制実施能力の均一化が求められ、かつ、新CNS/ATMのような高度な次世代の航空保安システム構築のため、地域としてまとまって、周辺国の訓練需要を一元的に賄うための支援、若しくは途上国からの訓練に限定した施設の整備への支援も考えられる。

 

(2) 援助の方法

タイ国の状況から、原則的には有償資金協力が妥当であるが、航空訓練学校としては、採算性も高く望めず、かつ、今後の航空交通需要の増加に対して航空管制処理能力の向上と空の安全の維持が求められる点から、限定的な施設整備または機材供与、若しくは訓練体制向上のための技術協力(専門家派遣)等、何らかの形の援助が可能である。

 

 

 

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