日本財団 図書館


ミャンマー側としては、設備の整った海外での訓練を第一と考え、それに対する制度的、財政的援助を望んでいるが、訓練の効果及び効率性を考慮した訓練計画の策定に対する技術協力が重要である。

また、航空管制部門のみならず、航空機検査など航空行政全般にわたる体制強化のため、我が国からの支援も期待されている。さらには、今後、ミャンマー発着の国際線が増えるのは確実であることから、航空会社経営(運航管理、航空機整備を含む)、空港の運営管理(セキュリティーの改善を含む)などの分野に関して、体制の強化と要員養成についての援助も期待されている。ただし、パイロット養成などのため、練習用小型航空機を機材供与するなどがミャンマー側から要望されたが、ODA大綱など援助の趣旨・スキームに沿うよう検討が必要である。

なお、ミャンマーでは、基本的には社会資本及び社会政策の整備が遅れており、インフラ整備(水道、電気等)、社会ルールの改善が進まないと、航空関連施設及び人材育成施設の整備は効果が薄くなる。我が国からのODAが供与できる政治、社会状況が整わないと援助は困難であるが、交通手段として重要である航空輸送の安全確保の観点から、技術協力を中心に援助を進めることは妥当である。

 

(2) 援助の方法

施設整備、機材設置については、無償資金協力によるのが妥当である。また、航空管制官等の航空保安業務の運用及び技術要員の育成への技術指導、並びに訓練計画及び訓練・試験制度の策定、訓練方法の適正化を支援する専門家の派遣等が考えられる。

基礎訓練機能は自国に整備するものの、高度な専門理論・技能の習得に関しては、海外の訓練機関への派遣を支援する、若しくは、ニーズを統合化するため及び周辺国の業務実施能力を平準化するため、関係国の訓練体制をまとめて、地域として訓練施設を整備するほうが効果的と考えられる。具体的には、第3国研修(マニラCATC等)、人材育成プログラムによる海外訓練機関への派遣支援、訓練協力体制作りのためのワークショップの開催、プロジェクト方式技術協力による訓練体制の整備などが考えられる。民間航空訓練学校(CATI)の機能改善に関連して、専門家の派遣、プロジェクト技術協力に合わせ、携行機材等により備品、消耗品の不備・不足の解消を図ることも可能である。

なお、ミャンマー(DCA)側からは、早急に必要な分野として、以下の専門家による支援を要望している。

・航空保安業務(運用及び維持)及び空域管理の指導者

・航空輸送の乗員試験及び路線資格審査(特にジェット旅客機)の指導者

・航空会社の運航部門に対する運航基準、運航技術の指導者

・航空会社の航空機整備部門に対する整備基準、耐空性審査の指導者

・近代的な空港運営(特にマンダレー新国際空港の運営維持)の指導者

これら専門家については、長期派遣、短期派遣を効果的に組み合わせて実施するのが望ましい。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION