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5〜10年程度かけて必要な人材を養成した後、カンボジアとして独立した訓練体制が確立できるよう第二段階の援助を実施する方法が妥当である。

ただし、将来的にみて、民間航空の発展拡大は小さいものと予想され、航空保安業務に係る運用、維持技術要員の需要は低いものと考えられ、施設として大々的に整備するよりは、必要最低限の訓練機材を揃えるよう無償で供与するか、他国の訓練機関に派遣する研修プログラムの充実、制度の確立に対しての支援がより現実的である。我が国への訓練生の招聘、第3国研修(例えば、我が国無償資金援助で整備され、現在プロジェクト方式技術協力が実施中であるマニラCATCなど)、海外の訓練機関での研修プログラムヘの派遣支援等を増やし、指導的な役割を担う人材を育成することは有効である。基本的には、カンボジアー国のために整備するのではなく、地域全体のために訓練施設の拠点を整備する考え方が妥当である。この場合、関係国の事情及び合意形成を踏まえて、我が国として最適な援助方法を実施する必要がある。

また、カンボジアに対しては、多面的な援助が必要であり、フランス等他国、アジア開発銀行等の他援助機関と連携しながら、基礎的、総合的に取り組むことが有効である。

 

4.3 ミャンマー国

4.3.1 民間航空訓練施設の種類

ヤンゴン国際空港近くに、官営の民間航空訓練学校(Civil Aviation Training Institute:CATI)があり、航空保安職員の養成及び再訓練を行っている。

 

4.3.2 教育・訓練体制

(1) 組織・運営体制

組織上は、運輸省航空局(DCA)の下部機関にあたり、校長、管理部門、教育部門、供給部門がある。現在の職員数は定員が24名、実際は9名である。基本的には、航空局採用後の新人職員及び既職員に対する再訓練を実施するところであり、受講料等は徴収されない。従って、運営体制としてはDCAに維持管理されており、運営費はDCAに予算管理される。なお、民間パイロット養成のための基礎訓練も実施しており、座学を中心として同様に無料である。

 

(2) 教育体系

航空局(DCA)採用後、各専門部門別に6ヶ月から1年間の新人研修が実施される。主に座学を中心に理論について教授される。航空保安職員として必要な理論及び基礎技能の習得を目的とした専門教育機関である。新人職員には、業務全般にわたりコース別に初級レベルの訓練を実施し、再訓練者には特定の専門分野に対しての知識、技能のリフレッシュ訓練が実施される。

一定のレベルに達することが修了時の条件であり、修了後は、各航空官署において、実業務によるOJT(On-the-Job Training)が実施され、試験を行って、実業務のレベルに達した者にレーティング(資格)が与えられる。

理論及び技術指導は、ICAOの付属書に準拠したテキストを使用しており、また、資格試験制度についてもICAO標準に基づいている。

 

 

 

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